風格が漂ってきた。楽天のエース・則本昂大投手が8回12奪三振2失点で開幕から2連勝。「打線の援護もあって、楽に投げることができました」と、今季初セーブを挙げた弟のように可愛がる松井裕樹投手と共にお立ち台に上がり、平日のデーゲームながら2万5,607人が詰めかけた楽天Koboスタジアム宮城のファンに笑顔を見せた。
終始、落ち着いていた。3点リードの7回1死一、二塁から埼玉西武・炭谷選手に左前適時打を浴びて2点差に。なお1死一、二塁のピンチに、坂田選手、渡辺直選手を連続三振。8回2死一塁、一発打たれれば同点の場面で、主砲の中村選手を気合いの直球で空振り三振に切ると、力強くガッツポーズだ。昨年まで2年連続奪三振王。この日も期待通りの奪三振ショーで球場を沸かせた。
開幕前、今季の自身の目標を聞かれ「21勝1敗」と掲げた。2015年までの3年間で通算39勝29敗。「キリのいい数字」ということで並べた数だという。白星も黒星も、決して簡単なものではないが「言わないと、それ以下の数字になる。自分がこれくらいしたら、チームも優勝できる」と語った。
自身がルーキーだった2013年。球団初の日本一に輝いた。その時、チームを引っ張った田中将大投手(現ヤンキース)は24勝0敗と驚異的な記録を残した。自主トレを共に行い、尊敬する先輩でもある田中投手に近い成績を挙げれば、チームを頂点に導ける。目標を明かした則本投手の表情は引き締まっていた。
開幕戦の福岡ソフトバンク戦は7回3失点。この日は2失点。抜群の投球内容ではなくても、最終的にチームに勝利を呼び込めればいい。「投げる試合は、(自分に)勝ち負けがつかなくても、チームが最後に勝っている、そんな試合がしたい」と、お立ち台で話した。10勝11敗に終わった昨年、結果が出ずにベンチなどで不満をあらわにする場面も見られた。だがチームを引っ張るエースとして、そのふるまいを大いに反省し、新たな気持ちで今季を迎えた。エースとして、責任感をいっそう強めた則本投手。チームの浮沈は、この男の右腕にかかっている。
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