医科学からチーム強化へ、埼玉西武と帝京大が連携。2024年には球界初クリニック開業も

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2023.1.31(火) 07:00

左から埼玉西武・松井稼頭央監督、奥村剛球団社長、後藤高志オーナー、帝京大学・冲永佳史学長、帝京大学スポーツ医科学センター・河野博隆センター長、アスリートメッド・石嶋正幸社長(写真:筆者撮影)
左から埼玉西武・松井稼頭央監督、奥村剛球団社長、後藤高志オーナー、帝京大学・冲永佳史学長、帝京大学スポーツ医科学センター・河野博隆センター長、アスリートメッド・石嶋正幸社長(写真:筆者撮影)

 埼玉西武ライオンズは1月30日、学校法人帝京大学とのスポーツ医科学サポートに関するパートナーシップ締結およびライオンズ整形外科クリニックの開設に関する記者会見を行った。

 パートナーシップ締結の目的はチームのスポーツ医科学分野の強化。選手の「けがの予防」「けがからの早期回復」「パフォーマンス向上」の3点を掲げ、シーズンを通して戦い抜くためのコンディション管理と、個人の能力を発揮できる環境づくりを行う。

チームドクターを増員。選手へのサポート体制の強化

 今回提携する帝京大学スポーツ医科学センターは、多職種のスタッフが連携し、学内外のアスリートをサポートしている。けがの治療だけでなく、米国ロサンゼルスにあるMovement Performance Institute(MPI)との業務提携し、動作分析によってけがのリスクをスコア化するなど、傷害予防のための取り組みも実施。そのノウハウを生かし、埼玉西武のチーム強化につなげていく。

 同時に、埼玉西武は一軍とファームに分かれていた「メディカル・コンディショニング」の部署を、新設の「ハイパフォーマンスグループ」に統合。これによって、選手の詳細な状態を把握できるようにするほか、各専門スタッフの連携を強化し、一貫性のあるサポートを目指す。

 グループを統括するハイパフォーマンスディレクターは、WBC日本代表のチームドクターの経験もある増島篤氏。その他チームドクター、理学療法士、ハイパフォーマンスアナリスト(選手のパフォーマンス分析などを担当)も帝京大学から専門のスタッフを迎える。加えて、2019年から献立の監修や選手への栄養指導を行っている管理栄養士も継続して派遣される予定となっている。

 2023シーズンからはチームドクターを従来の1名体制から、膝や肩など身体の各部位を専門とする6名体制に増員。春季キャンプから試合や練習にも一部帯同し、選手がすぐに検査や治療を受けられる環境を整備する。また、理学療法士も2名体制から4名体制となる。 

「ライオンズ整形外科クリニック」建設予定地(写真:筆者撮影)
「ライオンズ整形外科クリニック」建設予定地(写真:筆者撮影)

2024年春に「ライオンズ整形外科クリニック」開業も

 さらに、2024年春には埼玉西武ライオンズ、帝京大学、アスリートメッドが協力し、ベルーナドームエリアの向かい側に「ライオンズ整形外科クリニック」を開業。運営を主に行うアスリートメッド株式会社は、過去にも鹿島アントラーズをはじめプロスポーツチームと連携したスポーツ整形クリニックを設立している。

 院長はチームドクターとなる増田裕也氏(帝京大学医学部付属病院整形外科 准教授)が兼任する予定。高度な医療機器やリハビリ施設を備え、診断・治療からリハビリ、競技復帰、予防までの一貫したプログラムを導入する。本拠地の近くに位置することで、すぐに検査・治療が受けられるのも大きなメリットだ。

「ライオンズ整形外科クリニック」完成予想図(C)SEIBU Lions
「ライオンズ整形外科クリニック」完成予想図(C)SEIBU Lions

 また、選手だけでなく一般の患者も診療を受けることが可能。高度な医療サービスを提供することで、地域に貢献していく。

 今季からチームを指揮する松井稼頭央監督も「チーム強化、常勝軍団再建に向けて非常に心強い」と歓迎。パートナーシップ締結期間は2023年4月から3年間となる。

取材・文 丹羽海凪

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