今シーズンのパ・リーグはルーキーが熱い?米国では長いルーキーとなるまでの道のり

パ・リーグ インサイト 新川諒

2017.4.9(日) 00:00

4月6日、楽天の高梨雄平投手、そして千葉ロッテの佐々木千隼投手の両ルーキーが同日に勝利投手となった。

例年、プロ野球では“即戦力”ルーキーがシーズンの戦いを大きく左右する。今シーズン、パ・リーグだけでも開幕一軍を勝ち取った選手は合計8人いる。そのうち投手が6人で、オリックスの黒木優太投手、沢田圭佑投手、楽天の森原康平投手、菅原秀投手、高梨雄平投手、千葉ロッテの有吉優樹投手。野手では埼玉西武の源田壮亮選手、そして北海道日本ハムの石井一成選手の2人がいる。

先発投手はローテーションの順番によっては、初日からの登録が必要ないため佐々木千隼投手のように開幕一軍から漏れている選手もいるが、ルーキーたちの顔ぶれも高卒、大卒、社会人とさまざまである。どちらにせよルーキーたちが今シーズンもプロ野球を大いに盛り上げることに変わりはなさそうだ。

一方メジャーリーグでは開幕から25人枠に入っているルーキーたちのプロ暦から年齢など背景は日本同様にさまざまだ。ボストン・レッドソックスのアンドリュー・ベニンテンディは2017年トッププロスペクトと評価されて、開幕を勝ち取った。昨シーズンもすでに34試合に出場し、打率.295、2本塁打、14打点をマーク。さらにはワールドシリーズにすでに出場経験があるのに、まだメジャー開幕戦を経験していない選手もいる。シカゴ・カブスのアルバート・アルモーラJr.は昨年47試合に出場し、打率.277、3本塁打、14打点を記録。ワールドシリーズでも3試合に出場し、1打席に立っている。規定により、アルモーラはすでに新人王資格はないが、開幕戦の雰囲気を味わうのは今年が初となった。

彼らのように期待通りに開幕メジャーを勝ち取った者もいれば、“伏兵”のベテランもいる。すでにマイナーリーグでは579試合に出場している27歳のブロック・スタッシはキャリア初のメジャーを開幕から勝ち取った。2011年ドラフト33巡目指名を受けて、フィラデルフィア・フィリーズのマイナー組織でプレーを続けてきた。千葉ロッテの有吉投手も九州三菱自動車に4年間在籍し、26歳のルーキーではあるが、れっきとしたプロ1年目だ。

米国では“プロ入り”したときからプロスペクト(有望株)として各メディアでランキング付けされ、マイナーで結果を残していけば自然とメジャー昇格が騒がれ始める。だがプロスペクトとして分類されない者たちにとっては、長く険しい道のりだ。結果を残しても、近いようで遠い世界となってくる。特にトリプルAの現場にいると、その距離の違いを感じてしまう。日米で同じルーキーという呼び名であっても、その競争力の違いもあり、米国ではルーキーとして呼ばれるまでの道のりが本当に長い。

メジャーリーグでは前年25人枠在籍期間が45日以内、もしくは打者なら打数130以内、投手なら投球回50イニング以内の選手にルーキー・オブ・ザ・イヤー(最優秀新人選手賞)の受賞資格が与えられる。一方プロ野球では、支配下選手に初めて登録されてから5年以内で、前年までの出場が投手では30イニング以内、野手は60打席以内であれば新人賞受賞の資格が与えられる。

多くの人々が学校や職場でルーキーとしての日々を送っているこの季節。グラウンド上でも様々な背景でその場にたどり着いたルーキーたちがキャリアで一度しか獲得することのない新人王受賞を目指して、今年も球界を盛り上げる。

記事提供:

パ・リーグ インサイト 新川諒

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE