マウンドでの表情が引き締まってきた。楽天・古川投手が12日、中日戦に先発し6回途中8奪三振1失点で2勝目。チームの連敗を3で止めた。
前回登板の5日、巨人戦でプロ初勝利を挙げた右腕。初回、2回で4四球と制球に苦しんだものの、3回以降は見違えるピッチング。勢いのある直球を主体に7奪三振。全力で投げるその投球フォームには躍動感があった。
本拠地で初のお立ち台に上がった古川投手だが「連敗を止めたのは喜ばしいですが、投球内容は反省しないといけない」と、序盤の制球難に笑顔は控えめ。だが、プロ5年目での初勝利から連勝と、一歩ずつ階段を上り始めた。
そんな若き右腕を打線も援護。押し出しで先制し、なおも初回2死満塁、この日1軍に帰ってきたばかりの島内選手が中前に2点適時打。「すごい緊張したけど、何とか打てて良かった」と安どの表情で振り返った。さらに6回1死1塁から、右中間へ適時三塁打とこの日3打点の活躍。右脇腹を痛め、4月下旬以来の復帰となった島内選手。ケガの影響も感じさせず、三塁まで激走した。「古川も頑張っていた。1点取れて良かった」と、ヒーローインタビューで笑顔を見せた。
リーグ戦だけでなく、交流戦も最下位という厳しい状況が続く楽天。11日には、13本塁打を放つペゲーロ選手を含む5選手を一気に登録抹消。とくに捕手登録は嶋選手ひとり。捕手経験のある外野手の岡島選手を計算に入れてのものだが、現状打破に首脳陣の必死さが垣間見えた。
その荒療治が実ったか、島内選手をはじめ、昇格選手が活躍。不調で2軍調整していた福山投手は8回を務め、3者凡退。4年連続60試合登板の鉄腕が帰ってきた。さらにドラフト3位ルーキーの山崎選手がプロ初出場。6回1死1塁から代走で出場し、島内選手の適時打でプロ初得点。8回のプロ初打席では、初球の低めの球を捉えたが惜しくも遊直。プロ初安打とはならなかったが、梨田監督も「今度スタートでも使ってみたい」とスタメン起用を示唆するなど、可能性を感じた様子だった。
連敗を止め、ようやく交流戦の3勝目を手にしたチーム。だが苦しい状況は、若手にとってはアピールの絶好のチャンスでもある。この日の古川投手に続く男は現れるか。
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