緊張感が途切れることなく、開幕戦にふさわしい好ゲームとなった。福岡ソフトバンクが31日、千葉ロッテを下して2017年の第一歩を踏んだ。
和田投手と涌井投手によるエース対決。予想通り、といった投手戦が展開された。涌井投手は初回、2回と2安打ずつを許したが無失点で切り抜けると、3回から6回まで無安打投球。和田投手も6回まで1安打に抑えるなど、安定感を見せつけた。
試合が動いたのは7回。千葉ロッテ・角中選手、パラデス選手の連打もあって1死1,2塁とすると、新外国人のダフィー選手が右前適時打を放って先制。オープン戦13勝2敗3分と絶好調だった千葉ロッテが、均衡を破った。
だが、ここからの和田投手の踏ん張りが、勝利を手繰り寄せたと言っても過言ではない。さらに2死満塁とされ、相手は中村選手の代打・井口選手。経験豊富な大ベテラン。「あそこで抑えたら最高。打たれたら負けると思って投げました」と和田投手。カウント2-2からの渾身の直球に相手のバットが空を切り、空振り三振。クールな左腕が、珍しくガッツポーズで喜んだ。その姿に奮い立ったかのように、その裏の7回1死1,2塁で松田選手。WBC帰りの頼れる男が中前適時打で同点とした。
和田投手は8回も続投。「躊躇なくいかせた。和田君の開幕ゲーム。勝敗が決まるまで、と思っていた」と振り返った工藤監督の期待に応えるように、結局8回1失点。直後の攻撃、1死2塁から本多選手の中前適時打、柳田選手の左翼への犠飛で一気に2点が加わりこれで勝負が決まった。
勝ち越し打の本多選手の当たりは浅いセンター前。これで本塁まで帰ってきた上林選手の走塁も大きかった。同時に送球もそれたことで本多選手が3塁に到達し、犠飛が生まれた。スキを逃さないそれぞれのプレーが実を結んで勝ち取った白星だ。
悪夢の1年からの再スタート。2016年、6月にもマジック点灯の可能性もあったという独走状態から、終盤に北海度日本ハムに追い抜かれ、3連覇を逃した。チームは千葉ロッテに在籍していたデスパイネ選手を獲得。柳田選手、内川選手、デスパイネ選手で中軸を固め、一発のある松田選手を恐怖の7番に据える。6番に好打者の中村晃選手が座り、今宮選手、本多選手、そしてこの日、スタメンを勝ち取った上林選手らがかき回す。打線が一段と厚みを増した。攻撃だけではない。この日好投した和田投手を中心に、WBCで大活躍の千賀投手、武田投手、バンデンハーク投手がいる。昨年のセーブ王・サファテ投手はこの日もしっかりと試合を締め、今年も守護神として存在感を発揮してくれそうだ。
和田投手はヒーローインタビューで誓った。「今年こそ、昨年の悔しさを晴らすためにやっていきます」。無念の思いを歓喜に変えるため、リベンジの2017年が始まった。
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