福岡ソフトバンクの2017年シーズンは、3月31日に本拠地ヤフオクドームで開幕する。対戦相手は千葉ロッテである。昨季は北海道日本ハムに最大11.5ゲーム差を詰められ、パ・リーグ優勝を逃してしまった。「2016 日本通運 クライマックスシリーズ パ」ファイナルステージでも北海道日本ハムに敗れ、3連覇という大きな目標はまた振り出しに。これ以上ない悔しさを味わった。
ここでは福岡ソフトバンクが昨季の雪辱を果たし、王座奪還を目指すうえで、重要な役割を果たすだろうキーマンについて考えていきたい。
昨季の福岡ソフトバンクの成績を振り返ってみると、チーム防御率は3.09で、北海道日本ハムに次ぐリーグ2位。チーム打率は.261とリーグ3位で、失策数はリーグ最少。主力である柳田選手が最高出塁率、和田投手が最多勝、最高勝率、サファテ投手が最多セーブのタイトルを獲得しており、柳田選手と千賀投手はそれぞれパ・リーグの打率・防御率5傑にも名を連ねた。「巨大戦力」と呼ばれるだけの層の厚さを誇っているのは確かだ。
それでも北海道日本ハムの猛追を振り切れず、大逆転優勝を許してしまったのは、直接対決における借金が重くのしかかったからだろう。福岡ソフトバンクは、北海道日本ハムを除く11球団からは負け越しを逃れているにも関わらず、北海道日本ハムとの対戦成績は9勝15敗1分。天王山と呼ばれた試合でなかなか勝ちを拾えず、シーズン終盤に順位をひっくり返される隙を作った。
福岡ソフトバンク打線が挙げた打点・得点はリーグトップの数字をマークしているため、2015年のオフに退団した大砲・李選手の穴だけが敗因ではないだろう。チームの中でも、昨季の結果は単純な戦力不足が原因ではないという結論に至ったと見られ、今オフにおけるチームの方針は、「現有戦力を強化する」ことだった。
その現有戦力として、福岡ソフトバンクが王座奪還を果たすための鍵を握るのは、やはり、打線の軸となる柳田選手だろう。2015年にはトリプルスリーを達成してチームの日本一に貢献し、不振に陥ったと言われる昨季でさえタイトルを獲得し、打率は.306を記録。一流の成績を残したことは間違いないが、厳しいマークや度重なる怪我に悩まされ、本来のポテンシャルを発揮できたとは言い難いシーズンだったことも否定はできない。
走・攻・守の三拍子が揃った柳田選手は、4番打者のようなホームランバッターとは異なる方向から打線を支えなければならない。28歳という年齢や、プロ7年目というキャリアからも、柳田選手には多くの役割が求められるだろう。そんな中でも、昨季を上回る成績を残すことができれば、もとよりリーグ屈指の安定感を備える福岡ソフトバンク打線が、より盤石なものになる。
そして「キーマン」の2人目は、新外国人選手のデスパイネ選手である。昨季は千葉ロッテで134試合出場、496打数139安打24本塁打92打点、打率.280の成績を残し、大砲不在のチームの勝利に幾度となく貢献した。チームに捧げる献身的な姿勢も折り紙付きであり、福岡ソフトバンクが望む主軸の役割をデスパイネ選手が果たせば、打線は昨季にも増して破壊力抜群のものになるはずだ。
今オフ、福岡ソフトバンクが補強したのは、ドラフトで獲得したルーキーを除けば、前ダイヤモンドバックスのジェンセン選手と、デスパイネ選手のみ。残念ながら、ジェンセン選手はオープン戦で結果を残せず、二軍で開幕を迎える。デスパイネ選手の打棒の調子も、オープン戦の6打席では計りようがない。
しかし、オープン戦打率.370をマークした中村晃選手をはじめ、2本の本塁打を放った上林選手や、防御率1.69をマークした東浜投手、12球団屈指の安定感を誇る救援陣など、シーズンに向けた現有戦力の調整は順調のようだ。
巨大戦力を有しながらも、わずかな綻びで頂点を逸してしまうのなら、その少しの隙さえも潰してしまうほかにない。新戦力と現有戦力をうまく噛み合わせながら、圧倒的かつ緻密な野球を展開し、福岡ソフトバンクがもう一度、振り出しに戻ってしまったパ・リーグ3連覇の偉業に向けて突き進む。
記事提供: