「ケンケンも練習」!? 埼玉西武期待のユーティリティー、21歳が目指す打者像とは

Full-Count 篠崎有理枝

2018.5.31(木) 16:09

埼玉西武期待の21歳内野手・山田遥楓
埼玉西武期待の21歳内野手・山田遥楓

周囲を明るくする存在、埼玉西武・山田が目指す打者像とは

昨年7月下旬から8月上旬にかけて59年ぶりの13連勝を遂げるなどシーズン終盤にかけて好調を維持し、2013年以来4年ぶりとなるAクラス入りを果たした埼玉西武ライオンズ。今シーズンも開幕から8連勝を飾るなど勢いを見せ、10年ぶりの優勝に向けパ・リーグ首位をキープしている。

そんな中、5月12日には2軍で好調だった金子一輝内野手がプロ初昇格を果たすなど、若手選手たちも奮闘している。そこで、1軍を目指す若獅子たちを定期的に紹介していく。1回目は佐賀県の佐賀工高から2014年のドラフト5位で入団した山田遥楓内野手。山田は昨年6月末にプロ入り初となる1軍昇格を果たし、昨年は2軍で106試合に出場、打率.245、6本塁打、37打点の記録を残した。そして今春のキャンプでは、自身初となるA班(1軍)でスタートを切った。

そんな伸び盛りの21歳は内野をどこでも守るユーティリティー選手だが、プロに入るまでのポジションはずっとショートだった。「打者との角度がショートとサードはそんなに変わらないんですが、セカンドになると一気に角度が変わる。セカンドは難しいですね」と、苦笑いを浮かべる。

それでも、今春のキャンプでは辻発彦監督と馬場敏史内野守備・走塁コーチの特守を毎朝受け「すごく上達した」とレベルアップを実感している。

「打球に対して一歩目で判断するように言われました。辻監督が実際にボールを受けて見せてくれたんですが、全然違いましたね。打球を早く判断することで、ボールにうまく合わせられるようになりました」

憧れの打者から受けたアドバイス、「ケンケンも練習していますよ」

バッティングに関しては「プレースタイルがかっこいい」と中学生の頃から憧れる福岡ソフトバンクの松田宣浩内野手からオフに直接アドバイスを受ける機会に恵まれたという。

「松田さんはバッティングの時、グリップを握る両手が少し離れているんです。『なんでかな』とずっと思っていたので聞いてみたら、右手が強いから、右手で押し込む意識を持つために離していると教えてくれました。自分も真似したんですが、松田さんのようにリストが強くないからできませんでしたね」

今はリストの力を付けるトレーニングにも取り組んでいる。「マッチになりたいと思っています。ケンケンも練習していますよ」。笑いながらそう話す山田は、とにかく元気で明るい。先天性難聴で物心がついた時から右耳が聞こえないというハンディもあるが、いたって前向きだ。

「片耳が聞こえないと、後ろ側から呼ばれたときにどこから呼ばれているかわからないんです。だから、フライが上がったときにどこから声が出ているかわからない。目で相手の口を見ながらやっています。小学生の時から野球をやっていているので、クセがついています」

プレーには人一倍集中力が必要な状況にも関わらず、「元気で押していきます」と、誰より声も出す。

「ずっとこういうプレースタイルです。元気を出さないと野球に入り込めない。『きついな』と思う日もあるけど、元気を出さないと気持ちが上がっていかないんで」

1軍初昇格で見せた明るさ、「雰囲気を変えるために呼ばれたのかもしれないから」

プロ入り初となる1軍昇格を果たした昨年の6月30日は、チームにとって特別な試合だった。2日前の28日に、森慎二投手コーチが急逝。30日からのオリックスとの3連戦では3連敗を喫したが、山田は持ち前の明るさでチームを盛り上げた。

「潮崎2軍監督は『チームがこういう時だけど気にしなくていいから、お前らしくとにかく元気出してやってこい』と送り出してくれました。『おまえ場所間違えてない?』って言われることもあったけど、関係なく声出しました。自分はチームの雰囲気を変えるために呼ばれたのかもしれないから」

その後、7月3日に出場選手登録を抹消され、試合に出場する機会はなかったが、初の1軍昇格を振り返る山田の表情は充実感に満ちていた。そして今、再び1軍の舞台に立ちたいと意気込む。

「お客さんの数にびっくりして『こんな中で野球してるんだ』と思いました。1球1球に『ウォー』ってなるじゃないですか。1軍は空気が違いますね。『ここでプレーしたら楽しいだろうな』と思いました」

「自分ができることは、率が残せるしつこいバッターになること」と話し、日々鍛錬を続ける山田。周囲を明るくする21歳のはつらつとしたプレーを、1軍の舞台で見られる日が楽しみだ。

記事提供:Full-Count

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Full-Count 篠崎有理枝

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