日本球界にフィットした外国人選手たち

パ・リーグ インサイト

2017.3.27(月) 00:00

日本プロ野球の世界において、外国人選手は常に厳しい立場に立たされている。来日するや否や、異文化への適応もままならない中で主力級の活躍が求められ、シーズンを通しての結果が求められる。そのうえ、一軍に登録できる外国人選手は最大4人までであり、多くの外国人選手が在籍するチームでは活躍するチャンスそのものを得ることすらも難しい。そしてチームの中心として機能できなければ、多くの場合は彼らに翌年のチャンスが巡ってくることはない。

しかし一握りの外国人選手たちは、日本のスタイルに順応していくことで、日本球界で長くプレーする機会を得る。今回は2017年シーズンもパ・リーグで躍動するであろう外国人選手たちをご紹介していきたい。

まずは楽天のウィーラー選手。2015年に来日した当初は「内外野どこでも守れる」「田中将大投手(現・ヤンキース)の元同僚」といった触れ込みでやってきたが、開幕から打撃面での苦戦を強いられる。開幕戦の3月27日こそいきなりホームランを放ったが、以降8月の半ば頃まで打率が2割を下回る結果に。期待された長打力の面でも、8月までで6本塁打にとどまった。

しかし9月に入ると、人が変わったかのようなバッティングを披露し始める。1日のオリックス戦から6試合連続でヒットを放つと、9月だけで8月までの通算を上回る7本塁打。10月もわずか6試合ではあるが打率.435、9打点を記録し、見事翌年の契約を勝ち取った。

昨シーズンは4番に座り、打率.265に対してリーグ8位タイとなる得点圏打率.300と勝負強さを発揮。同6位となる88打点に、同3位となる27本塁打を記録。主軸としてチームをけん引した。陽気なキャラクターも含めファンにも愛されるウィーラー選手が、今季も楽天の中心にいることは間違いない。

続いては、今季から福岡ソフトバンクでプレーする「キューバの至宝」ことデスパイネ選手。キューバ政府が海外への選手派遣を認めるとすぐに、グリエル選手(現・アストロズ)らとともに来日し千葉ロッテでプレーしたが、来日2年目となる2015年シーズンはコンディション管理に苦しむことになる。

開幕を前に、母国・キューバの国内リーグやナショナルチームの代表としてカリビアンシリーズに参加し、シーズンの中盤にはキューバ代表としてパンアメリカン競技大会に参戦したことで、1年を通してプレーすることになってしまったためだ。結果的にシーズン初出場は4月15日の北海道日本ハム戦までずれ込んだ。期待された本塁打もシーズン通算18本にとどまり、試合数は前年の45試合から103試合まで増えたが、打率(.311→.258)、長打率(.627→.462)、出塁率(.374→.352)といった成績は前年から低下してしまった。

しかし翌2016年シーズンは、カリビアンシリーズの終了とともに2月中旬にはキャンプに合流し、日本でのシーズンに並々ならぬ意欲を見せる。するとシーズンを通して4番として出場し24本塁打、92打点を記録。打席数を前年の409から570と大幅に増やしながら、三振数は同じ89個にとどめるなど、日本プロ野球への適応もうまくいった。今季はキューバ代表としてWBCに出場した疲労も気になるところだが、今年からホームは昨年8本塁打を記録したヤフオクドームに移る。得意の環境で、強力な打線にさらなる厚みが加わることになりそうだ。

そして日本に順応した選手といえば、北海道日本ハムのレアード選手も該当するだろう。昨季はチームの日本一に大きく貢献し、「寿司ポーズ」とともに全国区の知名度となった陽気な外国人選手だが、来日した2015年当初は日本野球への対応に苦しんだ。

3月の4試合で7安打(2本塁打)5打点と幸先良いスタートを切ったものの、その後徐々に打率を落とすと、6月終了時点での打率は.183。5月には月間で38の三振を喫するなど、なかなか結果を出せずにいた。しかし、栗山監督が辛抱強く起用を続け、それに応えるかのように7月には成績が劇的に向上。月間7本塁打に加え、打率は3割(.303)、長打率は.742を記録した。

その後も多少の波はありながらも、シーズン終盤まで自慢の長打力をいかんなく発揮し、リーグ3位の34本塁打を記録して翌年の契約を勝ち取った。そして翌2016年シーズンの活躍は言わずもがな。39本のアーチを描いて見事本塁打王に輝き、新たに球団と2年契約を結んだ。今年レアード選手が何貫の寿司を握ってくれるかが、北海道日本ハム連覇の鍵になることは間違いない。

また、来日したシーズンから複数年にわたり、結果を残す外国人選手もいる。埼玉西武のメヒア選手は、来日初年度から華々しい活躍を見せていたが、シーズンを経るにつれ新たな進化を見せている。2014年シーズンの途中に来日すると、初戦となった5月15日の北海道日本ハム戦で初打席初本塁打という鮮烈なデビューを飾り、結果的に途中加入の選手としては初となる本塁打王のタイトルを獲得した。

しかし翌年は開幕から不振にあえぐ。前年に450打席で34本記録したホームランは、フルシーズンで525打席に立ちながら27本にとどまり、打率も5分以上落とす結果に (2014年:.290→2015年:.235)。この数字だけ見ると、2015年シーズンは一見するとただ不調に陥っただけのシーズンに映ってしまう。しかしその裏でメヒア選手は、確実に日本野球へとフィットしていた。次のデータを見て欲しい。

【メヒア選手 個人成績推移】
2014年 396打数 156三振 45四球
2015年 473打数 153三振 45四球
2016年 511打数 148三振 59四球

見てわかる通り、打数の増加と対照的に、三振数は減少傾向にある。にもかかわらず、四球を選ぶ数が増えたわけではない。メヒア選手のボールにコンタクトする技術が進化しているということが推測される。日本人投手独特の変化球を多めに使用する野球に適応し、的確にバットをボールに当てる技術が身についたからこそ、年々三振の数を減らすことができているのではないだろうか。

昨シーズン中には埼玉西武と新たに契約を結び、この先もその雄姿を見られることが決まったメヒア選手。徐々に日本の投手に慣れ、技術に磨きがかかった彼のさらなる活躍に期待したい。

パ・リーグ各球団には他にも、ディクソン投手(オリックス)やスタンリッジ投手(千葉ロッテ)、ウルフ投手(埼玉西武)など、日本で長きにわたって活躍している外国人選手が数多く在籍する。果たして今シーズン新たに日本での地位を確立する選手は現れるか。外国人選手たちの活躍から目が離せない。

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