“エース”が退団しても新しい“エース”が誕生する北海道日本ハム

パ・リーグ インサイト

2018.5.30(水) 15:41

北海道日本ハムファイターズ・上沢直之投手(C)PLM
北海道日本ハムファイターズ・上沢直之投手(C)PLM

主力が抜けても若手が台頭し、すぐにその穴を埋める

北海道日本ハムはチームの顔となる選手が抜けても、新しい選手が次々に台頭してくる。昨オフは正捕手の大野奨太選手が中日、守護神の増井浩俊投手がオリックス、投手と野手の二刀流・大谷翔平選手がエンゼルス、セットアッパーのマーティン投手もレンジャーズに移籍した。

主力選手がごっそりと抜けた今季だが、4年目の22歳・清水優心選手がスタメンマスクを被り、救援陣も新外国人のトンキン投手、4年目の22歳・石川直也投手、2年目の玉井大翔投手、ルーキーの西村天裕投手といった選手たちが台頭し、大方の予想を覆し現在2位に位置している。

ダルビッシュ投手の穴を埋めたのが吉川光投手

このように主力選手が抜けても、若い選手が活躍することの多い傾向にある北海道日本ハム。その中でも、北海道に移転後、“エース"と呼ばれる投手が退団した翌年に新たな柱が生まれている。

北海道移転後、長年エースを務めていたのがダルビッシュ有投手だ。2006年に12勝を挙げると、在籍した2011年まで6年連続2ケタ勝利をマークし、同時に5年連続防御率1点台も記録。最優秀防御率2回(2009年、2010年)、最多奪三振3回(2007年、2010年、2011年)、最高勝率(2009年)のタイトルを獲得し、北海道日本ハムの“絶対的"エースだった。

そのダルビッシュ有投手は2011年オフにポスティングシステムを利用して、レンジャーズへ移籍。大黒柱を失ったが、翌年に先発ローテーションの柱に成長したのが当時6年目の吉川光夫投手だった。

吉川光投手は高卒1年目の2007年に4勝を挙げ、同年の日本シリーズでは石井一久氏以来となる先発を経験した。将来のエース候補として期待されたが、2008年が2勝、2009年から3年間は1勝もできなかった。

伸び悩んでいた吉川光投手だったが、栗山英樹監督が就任した2012年に覚醒する。開幕から先発ローテーションをつかむと、4月8日の千葉ロッテ戦で約4年ぶりの白星を手にした。

8月17日の千葉ロッテ戦で自身初となる10勝を達成すると、最終的に14勝でシーズン終了。防御率は1.71を記録し、最優秀防御率のタイトルを獲得した。北海道日本ハムはリーグ優勝し、自身もリーグMVPに輝き、“エース"・ダルビッシュ有投手の穴を埋める働きぶりだった。

大谷選手退団後の新エース候補

そして、“エース"・大谷選手がエンゼルスへ移籍した今季、エース格の投手に成長したのが、大谷選手の1学年先輩にあたる上沢直之投手だ。

上沢投手は2014年に8勝を挙げたが、翌15年が5勝、チームが10年ぶりに日本一に輝いた16年が0勝、17年が4勝。その間に右肘を手術するなど、苦しいシーズンが続いていた。

今季は4月17日の埼玉西武戦で2回1/3を投げて無失点で降板した以外は、全ての登板で5イニング以上を投げる。ここ4試合は7イニング以上を投げ、5月16日の埼玉西武戦、23日の千葉ロッテ戦と2試合連続完封中だ。5勝1敗、防御率はリーグトップの1.18をマークしており、6年前の吉川光投手のように“エース"の退団を忘れさせるような活躍を見せている。

30日の18時から東京ドームで行われる巨人対北海道日本ハムの交流戦は、巨人・吉川光投手、北海道日本ハム・上沢直之投手による投げ合いとなる。ダルビッシュ投手が退団した翌年に先発の柱として14勝を挙げた吉川光投手が勝利するのか。それとも、2試合連続完封中の上沢投手に軍配が上がるのか…。北海道日本ハムファンにとって、非常に楽しみな対決になるのではないだろうか。

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