飯田哲也氏が指摘「タイミングがずれている」始動遅れが生む“詰まり”
“ギータ”復活はいつか。福岡ソフトバンクの主砲、柳田悠岐外野手はセ・パ交流戦全18試合に出場したが、62打数14安打で打率.226。今季トータルで打率.253、7本塁打の不振にあえいでいる。東京ヤクルト、楽天で走攻守三拍子揃った名外野手として活躍し、現役引退後には福岡ソフトバンクのコーチも務めた野球評論家・飯田哲也氏が現状を分析した。
柳田は言わずと知れた豪快なフルスイングが売り。ところが交流戦の期間中は本塁打はおろか、長打が二塁打1本だけ。5月31日の巨人戦では、NPBワースト記録に並ぶ1試合5三振の屈辱まで味わった。
交流戦最終戦の12日、本拠地PayPayドームで行われた東京ヤクルト戦では4打数1安打。飯田氏は「タイミングがずれている。本人的には前のポイントで打ちたいはずですが、できていない。スイングの始動がちょっと遅れている。だから詰まってしまう」と指摘する。
初回1死1塁では初球、真ん中付近に入ってきたチェンジアップをとらえ切れず、一ゴロ併殺打で先制機を広げられなかった。4回は、直球が続いた2ボールからの3球目、やや低めのストレートに対応。ゴロが飛んだコースが良く、二遊間を抜けてセンター前へのヒットとなったが、飯田氏は「内容は全然良くない。調子がいい時は、もっと体がぐっと前に出ていた。今は体重が後ろに残っているように見えます」と首をかしげた。7回は、初球の高めの速球に振り遅れ、最後も高めのボール気味のストレートを振らされ、三振に倒れた。
凡打で「いい感覚」つかんだ? 藤本監督は今後も3番固定を明言
そして最後の打席は9回2死二塁、6球目の変化球を叩くも二ゴロ。東京ヤクルトの高橋奎二投手にレギュラーシーズン初完封を許した。ただ、飯田氏はこの打席では復調への兆しが見えたと話す。カウント2-0からの3球目のファウル、4球目の空振りは、速球にタイミングが合っていた。「あれだけの選手になると、感覚を一瞬でつかむことがあります。それは凡打の時かもしれない」。4日間のインターバルを置き、17日に再開されるリーグ戦に、いい感覚を持って臨めるかどうか。
福岡ソフトバンクは栗原陵矢外野手が開幕早々に膝を負傷し今季絶望、上林誠知外野手も5月にアキレス腱断裂で手術を受けるなど、怪我人が続出している。柳田も4月に左肩腱板炎で1か月近い離脱を余儀なくされた。
やり繰りに頭を悩ませる藤本博史監督は、今月9日の阪神戦で、それまで今季全試合で4番を務めていたジュリスベル・グラシアル内野手を6番に下げた。しかし柳田については、残りのシーズンも3番から外さない意向を明言している。飯田氏も「彼に代わる存在はいませんから」と指揮官の思いを察する。福岡ソフトバンクは首位・楽天に1.5ゲーム差の2位。「今は首位が見えている状況なので、慌てて打順を替える必要もない。ギータの状態が戻ることを待っている。耐える時期です」と続けた。
「一振りで雰囲気をガラリと変えられる選手」と飯田氏が評するギータ。そのバットが火を噴かない限り、福岡ソフトバンクの2年ぶり優勝はありえない。
(Full-Count編集部)
記事提供: