“怪我の功名”で地力アップの埼玉西武 主力復帰で辻監督も手応え「去年とは違う」

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2022.6.13(月) 08:05

埼玉西武・辻発彦監督※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
埼玉西武・辻発彦監督※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

ドームなのに雨風が吹き込む本拠地「はなわの歌じゃないけど」

■埼玉西武 11ー0 広島(交流戦・12日・ベルーナドーム)

 埼玉西武は12日、本拠地ベルーナドームで行われた広島戦に11-0で大勝。セ・パ交流戦を9勝9敗(12球団中5位)で終え、パ・リーグでは首位に6.5ゲーム差の3位につけている。故障で戦列を離れていた主力選手が、交流戦中に続々復帰。昨季は42年ぶりの最下位に転落したが、辻発彦監督は「去年までとは違うチームになってきている気がする」と大きな手応えを口にした。

 嵐の予感が漂っていた。試合序盤、ベルーナドームの外は突然豪雨と強風が吹き荒れ、スタンドの一部にも吹き込んできた。さらに雷鳴が屋根に轟く。辻監督は「凄かったね。はなわの歌じゃないけど、ドームで傘をささないといけないよ。レフトスタンドはびしょ濡れになったんじゃない?」と苦笑した。

 ベルーナドームは、屋根を柱で支える構造で、壁はなく、外気が入る。換気は抜群だが、風の強さによって雨が吹き込むこともある。辻監督と同じ佐賀県出身のお笑いタレント・はなわが歌った、映画「翔んで埼玉」の主題歌の歌詞には、それを茶化した部分があるのだ。

 試合では“嵐のように”打ちまくった。広島先発のアンダーソンに対し、初回にブライアン・オグレディ外野手が先制7号ソロ。2回には川越誠司外野手が押し出し四球を選び、3回には山川穂高内野手が20号2ラン、外崎修汰内野手が3号2ランを浴びせた。4回にも広島2番手の薮田から、源田壮亮内野手が適時三塁打、オグレディが来日初の1試合2発となる8号2ランを放った。

 投げては来日1年目の左腕ディートリック・エンス投手が先発し、7回3安打無失点に抑えて4勝目(3敗)。辻監督が「投手も野手も頑張って申し分ない、理想的な試合だった」と手放しで選手を称えたほどだ。

森、源田、若林らが続々戦列復帰、伸びた若手との融合

 交流戦期間中、右手人さし指の骨折で戦列を離れていた森友哉捕手、右足の甲に自打球を当てて登録抹消されていた源田が復帰。昨季、左膝十字靭帯損傷の大怪我を負った若林楽人外野手も「万全ではない。1週間に1度はスタメンから外して、休ませながら使いたい」(辻監督)という状態ながら戻ってきた。新型コロナウイルスの影響で離脱していた松本航投手も、先発ローテに復帰した。

 一方、故障者続出の中で経験を積んだ愛斗外野手は、攻守に成長著しく、センターのレギュラーに定着しつつある。源田が不在の間は、18歳の滝澤夏央内野手が遊撃手として活躍。7日に右手親指痛で抹消された中村剛也内野手に代わり、サードでスタメン出場した平沼翔太内野手や、川越も存在感を発揮している。いわば“怪我の功名”で、戦力の底上げが進んでいる。

「日頃出ていない選手が結果を残してくれているのはうれしい。競争意識が出て、チームとしてレベルが上がっていけばいいと思います」と辻監督。主力がそろわないジレンマに耐え続けた獅子にとって、お楽しみはこれから。パ・リーグの優勝争いに嵐を呼ぶ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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