2軍で見つけたプロの課題「ストレートの質が違います」
履正社高時代も大柄だった体が一層大きくなり、“プロ仕様"に徐々に成長しているのが分かる。だが、そんな雰囲気をよそに千葉ロッテのドラフト1位ルーキー安田尚憲内野手は本音を吐露する。
「今、ストレートが打てないんです。プロのピッチャーのストレートは質が違います。とにかく速いですね。前になかなか飛ばないんです。でも、詰まらされたら自分の負け。そうならないよう、毎日いろんなことを考えながら打席に入っています」
24日のイースタン・リーグ埼玉西武戦で3打数1安打。レフトにしぶとく落とした1安打のみだが、3打席目では空振り三振を喫した。この試合を終えて46試合。ホームランを3本放っているとはいえ、「まだまだですね」を連呼するのは、元々の謙虚な姿勢だけではなく、本心からあふれる言葉だ。
「プロのピッチャーはレベルが高いです。それは覚悟していたんですけれど……。プロの世界に入って、毎日野球のことを考える生活の中で、どう対応していけるか。高校の時は授業を受けて、グラウンドに移動して練習して……。高校の時も一生懸命でしたけれど、プロに入ると一層必死になったというか、高校の時と比べて1打席1打席を深く考えるようになりました。これは今までにはなかったことです」
すぐに溶け込んだ千葉ロッテの環境も「余裕がないですね(笑)」
生まれて初めて大阪を離れ、生まれて初めての寮生活。だが、恵まれた環境の中、気さくな先輩たちとの交流も多く、すぐに溶け込んだ。3年上には自身と同じように高卒からプロに入った平沢大河(仙台育英出身)がおり、いろいろなアドバイスも受けているという。
ただ、プロに入ると息を抜く機会は減ったという。「余裕がないですね(笑)。外に出ることとか、あまりないんです。高校の時の同級生と外食に行くとか、チームでも外食に誘われることはありますけれど。それぐらい、常に頭は野球のことでいっぱいです」。
日々の練習では、大村巌コーチにつきっきりの指導を受け、打撃向上に取り組んでいる。ストレートへの対処法に関してはまだ試行錯誤ではあるが、プロの速いボールに慣れ、どうバットで捕らえ、飛ばせるか。金属から木に変わったとはいえ、高校時代のような球場中を魅了する打球を早く見てみたいものだ。
「この1年の目標は、まず今の生活リズムに慣れること。早く1軍に上がりたいというのはありますが、今はこの環境についていける体を作ることですね。これからはだんだん気温も上がってきていて(2軍の試合は昼間のため)暑さとの戦いも出てきます。そこにも負けないように。これから1日1日成長していけたらと思います」
野球に対する貪欲さは高校時代も強かったが、プロという世界はさらに安田を貪欲にさせている。千葉ロッテの未来を背負って立つことになるであろう背番号5は、ひとつひとつの壁を乗り越えながら、着実に歩みを進めている。
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