2月11日、昨年まで千葉ロッテで3年間プレーしていたアルフレド・デスパイネ選手の福岡ソフトバンクへの入団が発表された。V奪回が今季の至上命題となる福岡ソフトバンクにとっては、心強いニュースとなった。内川聖一選手、柳田悠岐選手、松田宣浩選手、中村晃選手、長谷川勇也選手、新外国人のカイル・ジェンセン選手に加えてデスパイネ選手とリーグ屈指の強力打線が予想される。まさに「昨日の敵は今日の友」という形だ。
逆に千葉ロッテにとって、デスパイネ選手の抜けた穴は大きい。昨年はチーム不動の4番打者として自身初の規定打席に到達しチームトップの24本塁打、92打点とその存在感を発揮した。中でも本塁打は際立っており、チーム本塁打の80本塁打中、1/4ほどがデスパイネ選手だっただけに、長距離打者として入団したマット・ダフィー選手、ジミー・パラデス選手の両外国人の活躍が期待される。
福岡ソフトバンクにとって、デスパイネ選手の加入は非常に心強い。昨年のデスパイネ選手の打撃データを見ると、球団別成績で対福岡ソフトバンク戦は打率.233。打率こそ低いが、本塁打数は球団別で一番多い10本塁打だ。さらに福岡ソフトバンクの本拠地・ヤフオクドームでの成績は45打数14安打の打率.311。本塁打は8本と福岡ソフトバンク戦での10本塁打中、8本塁打がヤフオクドームで放ったものだった。しかもヤフオクドームでの11試合で、ノーヒットに終わったのは5月10日の試合のみ。中でも8月26日の試合では3対11、翌27日の試合では3対14と大敗する中でデスパイネ選手は26日に相手先発・和田投手から2本塁打、27日も4回に千賀滉大投手から本塁打と孤軍奮闘した。昨年のヤフオクドームでは長打率.889(シーズンは.480)。OPSは1.229(同.841)と抜群の相性を見せている。
さらにヤフオクドームが舞台となった10月のCSファーストステージ第1戦。チームは3対4と敗れたが、デスパイネ選手は初回に先発・千賀投手、9回に守護神・サファテ投手からそれぞれ本塁打を放っている。デスパイネ選手のヤフオクドームでの活躍ぶりを見ると、福岡ソフトバンクファンとしては大いに期待したくなるのではないだろうか。
また、パ・リーグの他球団から福岡ソフトバンクに入団した外国人バッターを振り返ると、2009年のホセ・オーティズ選手(前年の所属先・千葉ロッテ)。11年のアレックス・カブレラ選手(前年の所属先・オリックス)、14年の李大浩選手(前年の所属先・オリックス)がいる。オーティズ選手は09年のシーズン途中に入団し、2年連続で20本塁打以上をマーク。西武時代には2年連続50本塁打とその長打力を期待されたカブレラ選手だったが、11年は10本塁打、翌12年はわずか1本塁打と期待外れに終わった。そして、記憶に新しい李大浩選手は中軸を任され、チームの2年連続日本一に大きく貢献。特に東京ヤクルトと対戦した15年の日本シリーズでは内川聖一選手の戦線離脱で4番に座り、打率.500、2本塁打でシリーズMVPを受賞している。
アメリカ代表の優勝で幕を閉じた第4回WBCでは、キューバ代表の主軸として活躍したデスパイネ選手。今後は新天地・福岡に戦いの場を移し、相性の良いヤフオクドームで昨年のような打棒を発揮できるか。その活躍が大いに注目される。
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