パ・リーグ平均146.2キロより1.3キロ遅いのに…ファンを虜にする“美直球”
北海道日本ハム・吉田輝星投手が、躍動を続けている。高卒4年目の今季はここまで14試合に登板して防御率2.75をマーク。何より目を引くのが、美しい縦回転で強打者もねじ伏せるストレートだ。決して150キロを超える球ではないものの、その効果は絶大。宝刀ぶりはデータでも顕著で、ファンがうっとり見惚れてしまうのも頷ける。
セイバーメトリクスの指標などで分析を行う株式会社DELTAのデータを基に、直球に関する数値を見てみる。吉田の今季の平均球速は「144.9キロ」。昨季の144.2キロから大きな変化はなく、パ・リーグ平均146.2キロを1.3キロ下回っている。
ただ、全投球数に占める割合は劇的に増加。現段階で、直球の比率は「75.7%」。過去最も割合が高かった1年目の2019年でも64.8%だった。昨季の59.4%から比べると、16ポイント以上も増加。対照的にスライダーの比率が10%以上減少しており、より“真っ向勝負”を挑んていることが明白になっている。
何より、そのストレートが結果に直結している事実が心強い。平均的な投手を基準に、ストレートがどれだけ失点を増減させたかを示す「wFA(Fastball runs above average )」は「5.0」。プラスが大きくなれば結果が良かったことを表す数値で、過去3年間はいずれもマイナス数値だったが飛躍的に改善した。
wFAでは広島・森下暢仁が「7.6」、福岡ソフトバンク・千賀滉大が「7.0」など、より高い数値を出している投手もいるが、全投手でも見ても吉田は上位に入っている。ファンが口々に「140キロ台には見えない」「すんごい球投げるな」と唸る威力は、数値上でも明らか。投げっぷりの良さも相まって、どんどん見る者を惹きつけていく。
(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)
データ提供:DELTA
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。
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