「数字」も「縁」も持っている男、ドラフト3位・成田翔投手

パ・リーグ インサイト マリーンズ球団広報 梶原紀章

2016.2.7(日) 00:00

ZOZOマリンスタジアム(C)PLM
ZOZOマリンスタジアム(C)PLM

地元・秋田県の期待と注目を一身に背負っている。2月1日から始まった千葉ロッテマリーンズの石垣島キャンプ。ドラフト3位の成田翔投手(秋田商業)のキャンプインを取材しようと秋田のメディアも駆けつけた。中でも秋田朝日放送はアナウンサーとテレビクルーを派遣し、第1クールから密着マーク。郷土での注目の高さがうかがえた。

「わざわざ来ていただいて、本当にありがたいことです。地元の人たちの期待に一日でも早く応えられるように自分も頑張りたい」(成田)

そんな期待に応えるように成田は第1クール初日からブルペン入り。首脳陣にアピールをした。左腕から繰り出されるキレのあるストレート。さらに注目を浴びたのは伝家の宝刀・スライダー。曲り幅が大きく、首脳陣だけではなく選手たちも驚きを隠さなかった。

「球団サイトのユーチューブで見たのですが、ストレートはキレもコントロールもありますね。そしてなによりも変化球。あれはスライダーですかね? すごいの一言。早い段階で一軍に来る選手だと思いました」

キャプテンの鈴木大地内野手は練習後、ホテルの自室で球団公式ユーチューブチャンネルにて新人投手の動画をチェック。その若さ溢れる投球が強く印象に残った。ドラフト1位ルーキーの平沢大河内野手(仙台育英)が注目を浴びているが、こちらも負けじと存在感を見せている。秋田朝日放送では2月2日の夕方のニュースで、成田のキャンプでの奮闘を番組の冒頭のトップニュース扱いで報道。視聴率は現地で約17%を記録した。

「これはいつもの平均より5%ほど、高いと考えていいと思います」と同局関係者は興奮気味に話す。通常は視聴率が大きく変化をする時間帯ではないのだが、成田のニュースが始まるとオンエアされた5分間ほどの間に3%以上も上昇するなど、ハッキリとした動きがみられた。「成田投手には視聴率を引き上げる力があると考えられます」と同局関係者。昨年9月8日に同局の番組にスタジオ生出演した際にも視聴率は15%を記録。最大瞬間視聴率が20%近くまで上昇した。

「この日は他局に圧倒した結果になりました。成田投手の秋田での人気は抜群。ルックスはもちろん、甲子園での活躍。そしてこれからプロで頑張ってほしいという秋田県民の想いが、後押ししているのだと思います」と秋田朝日放送関係者はまるで自分の息子を自慢するかのように、まくしたてた。

その人気はマリーンズ公式ユーチューブチャンネルでも顕著だ。1月中旬にロッテ浦和球場のブルペンでの投球練習映像をアップすると、2日で6万再生回数を突破。その後も上昇を続け、2月6日時点では14万回に達している。選手をクローズアップしたマリーンズの動画はアップ後、一ヶ月で大体、1万回から2万回の間で推移することが多い。これを踏まえると特筆すべき数字だ。

「今はまだ二軍なのでとにかく一日でも早く一軍に上げてもらえるように頑張ることしか考えていないです。でも注目をしてもらえることはプロとしてはありがたいこと。励みに頑張りたいですね」と成田。それらの数字を聞くと凛とした表情で力強く答えた。

ちなみに、そんな成田とマリーンズは不思議な縁で結ばれている。成田が1歳の時に亡くなった曽祖父は定年までロッテ浦和工場の寮長として、勤務していた。そしてもう一つは父・努さんとロッテの縁。成田の父が秋田県内の大学3年生だった1991年5月19日。秋田八橋球場で行われたロッテ対近鉄戦で一塁側・ロッテベンチのボールボーイをアルバイトとして務めた。近鉄・トレーバー内野手が死球に激高し、マウンドに詰め寄ったことにより、この試合は大乱闘に発展したことでも有名だが、成田の父はその場面を目の前で見ていた。「いやプロって凄いなあと思いました。まさか自分の息子がその世界に入るとは夢にも思いませんよね」と父・努さんは当時のことを思い返した。

成田の好きな言葉は『感謝』。マリーンズに指名された時に、これまでの人との出会い、縁を大事にし、日々、感謝の気持ちを持ちながらプロの世界で大きく羽ばたこうと誓い、その言葉を胸に刻んだ。ファンの期待、地元・秋田の期待は高い。縁にも導かれ、マリーンズの背番号41を身にまとった成田は、これから多くの人に夢や希望を与えられる存在になりたいと日々、精進する。その先にキラキラと光り輝く未来が待っている。

マリーンズ球団広報 梶原紀章

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