3月5日、北海道日本ハム対巨人のオープン戦2戦目。北海道日本ハムの先発は、6年目の上沢投手。2014年に8勝を挙げてさらなる飛躍を期待されながら、昨シーズンは怪我の影響で一軍登板は一度も叶わなかった。しかし今季は、キャンプ中の練習試合などでも、長いブランクを感じさせない好投を披露し、完全復活に向けて順調な調整ぶりをアピールしている。
上沢投手は初回、2番・重信選手に出塁と盗塁を許すものの、3番・マギー選手と4番・阿部選手から三振を奪い、無失点で切り抜ける。2回表も、7番・ギャレット選手を1球で仕留めるなどして、3者凡退。3回表は、先頭の宇佐美選手に安打を放たれるが、次の辻選手をダブルプレーで打ち取り、結果的に3人で巨人の攻撃を終わらせ、終始テンポのいい投球で、3イニングスをあっさりと締めた。
しかし、巨人の先発のマイコラス投手も、3回まで1人のランナーも出さない圧巻の投球。先発の役割を務め上げた上沢投手は、当初の予定通り2番手の武田久投手にマウンドを託し、打線の援護を待つ。
4回表から登板した武田久投手は、前日の試合でマルチ安打を記録した先頭の重信選手から三振を奪うなどして、3者凡退の好投。その裏、先頭の西川選手が俊足を生かして、この試合初の出塁に成功すると、2番・石井一選手が安打を放ち、無死1,2塁のチャンスを作る。そして、3番・近藤選手がマイコラス投手の2球目を冷静に捉えて1点適時打。若手選手の3連打で、北海道日本ハムが先制に成功する。
5回表からマウンドに上がったのはマーティン投手。簡単に2死までは奪うものの、7番・ギャレット選手にファウルで粘られて四球を出し、意表を突いた盗塁と悪送球で一気に三塁まで陥れられる。だが、次の宇佐美選手から空振り三振。昨季、主にクローザーとして大車輪の働きを見せたマーティン投手らしく、落ち着いてピンチを切り抜けた。
北海道日本ハムの4番手で、今季の春季キャンプで存在感を示していた高卒3年目の石川直投手も、ランナーこそ出すものの無失点。試合中盤まで、両チームの投手陣がゲームを牛耳るような、スピーディーな試合展開が繰り広げられる。
試合が動いたのは6回裏。先頭の中島卓選手が、巨人の2番手・山口鉄投手から安打を放って出塁すると、1死1塁の場面で石井一選手が右翼線への二塁打。さらに3番・近藤選手が四球を選び、1死満塁の絶好機を演出する。ここで、今回4番に座った岡選手が、その大抜擢に応える2点適時打を放ち、北海道日本ハムが3点リードを奪った。
7回表からは、2日の中日戦で好投した斎藤佑投手が登板。先頭の阿部選手には四球を出すものの、次の村田選手をダブルプレーに打ち取り、3人で攻撃を終わらせた。また、8回表には、昨年の交換トレードで巨人から北海道日本ハムに移籍した公文投手が登板。失策と死球で得点圏にランナーを背負うが、後続を断ち切って古巣の反撃を封じ込めた。
最終回に登板した2年目の上原投手も、春季キャンプで得た首脳陣の信頼に応えるように、危なげなく3者凡退。試合は、3対0で北海道日本ハムが勝利した。
前日敗れた巨人打線を相手に、北海道日本ハム投手陣の被安打はわずか2本。先発の上沢投手が3イニングスを投げて以降、すべて1イニングずつという小刻みな継投ながら、武田久投手と上原投手が被安打0、四死球0、無失点の「完全投球」という、圧巻の完封リレーを披露した。
オープン戦だということももちろんだが、今月開幕するWBCにより、チームは現在、主力選手の複数を欠いている。今日を含めた直近の試合における失策の多さなど、昨季までのチームらしからぬ面が目立つのも、その影響が考えられる。しかし、そんな中だからこそ、選手それぞれが自身の立場を自覚し、与えられたチャンスで最高のパフォーマンスを発揮するため、高いモチベーションで試合に臨んでいる。
今回、チームでただ一人マルチ安打を記録したルーキーの石井一選手をはじめ、連日存在感を示している選手はまだ若く、昨年の日本一を一軍で経験していないケースも少なくはない。今季からはきっとまた、昨年の栄光に甘んじることなく、新しいスタイルでペナントレースに挑む北海道日本ハムの姿が見られることだろう。
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