藤本監督も目を細めるベテランの存在感「さすが」
38歳の大ベテランが元気だ。24日に宮崎市の生目の杜運動公園で行われた「球春みやざきべースボールゲームズ」の千葉ロッテ戦。福岡ソフトバンクで先制の2点適時二塁打を放ったのが「思うような感覚で打席を経験できているので、数を増やしていい結果を出していく、持ち味を出していくこと」と語る松田宣浩内野手だった。
初回、先頭の三森が右前安打で出塁。続く佐藤直が四球で続き、重盗で無死二、三塁に。ここで打席に立った松田は2ボール1ストライクからの4球目を弾き返すと、打球は右翼線で弾んだ。2人の走者が次々に生還。打った松田も二塁へと進んだ。先制の2点適時二塁打。「ピースじゃありません。2点取ったぞ、という2です」と、塁上ではベンチに向けて、2本指でポーズを決めた。
3回の第2打席で凡退したものの、痛烈なセカンドライナーを放ち、状態の良さをアピール。相変わらず元気いっぱいで、ベンチに退いてからも、グラウンド上には“熱男”の声が響いており、存在感は別格。藤本博史監督も「状態いいですよ。セカンド、ショートが後ろだったから、セカンドゴロを狙いに行ったって言っていた。それでいいと思うんですよ、1点取りにいく野球だから。さすがベテラン。そういうところは若手も真似していってもらいたいと思います」と目を細めていた。
5月には39歳になるプロ17年目の松田。一昨季、昨季と打撃不振に陥り、2020年は打率.228、13本塁打、2021年も打率.234、14本塁打に終わった。チーム内外で世代交代の必要性が叫ばれ、このキャンプではリチャードや若い井上との競争の渦中にいる。そんな今季、大ベテランは自身の中で大きな“モデルチェンジ”を図っている。
求めるのは安打と打点「自分の中で方向性が変わっている気がします」
昨季通算300本塁打を達成し、プロ通算301本塁打を数える。2018年、2019年には30本塁打超を放ち、ホームランへのこだわりも滲ませてきていた。ただ、今季は「次はもっとヒット打ちたいし、打点をあげたいなという方向に進んでいる。ホームランも大事ですけど、ヒットを打つことと打点を稼ぐことがチームに求められていることだと思うので、そういったところを今年は追求していきたい」と語り、打席ではコンタクト率に重きを置くようにしている。
このコンタクト率を高めるために打席内でのアプローチも変えようとしている。「追い込まれたらコンタクト率は下がっていく。プロ野球って1打席に1球、甘い球が来るか来ないかの世界だと思っているので、その1球を見逃して、次から勝負するというのは良くない。甘い球をオーバースイングするよりは、タイミングを合わせて、甘い球を見逃さずに振ることがコンタクト率に繋がる。それが去年との違い」。ホームランを意識するのを辞め、スイングをコンパクトに、ボールをしっかり捉えるスタイルを目指す。
「早いカウントの甘い球をしっかり振れば、ヒットのコースに飛ぶんじゃないか。ボールを投げさせようとして、そういったボールをわざと見逃していたところがあった。ヒットをたくさん打ったら試合に出られるし、あと16で1000打点だし、自分の中で方向性が変わっている気がしますよね」と心境の変化も口にしていた松田。これまで毎年のように柳田悠岐外野手と互いの本塁打の数を競ってきたが、今季は「絶対にやらない。もう終わり終わり。それは土俵に乗ってません」とも。大幅な“モデルチェンジ”を決意した松田。世代交代の波に抗い、再びレギュラーの座を掴みに行く。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)
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