球場のリニューアル、新演出導入のきっかけとは
3月30日、ZOZOマリンスタジアムで行われた千葉ロッテ対楽天の試合前、2018年ペナントレース到来を告げる開幕セレモニーは今までの雰囲気とは異なる、光を多用した華やかなものとなった。
その背景にあるのはオフシーズンに行われた、全面LEDへと変わった球場照明のリニューアルだ。球場外でも外壁にフルカラーLEDを設置。ナイター時には様々な色に変化し幻想的な姿を現している。2016年にはバックスクリーンの大型ビジョン改修、新たにレフトとライトにサブスクリーンを設置するなど年々進化してきたZOZOマリンスタジアムだが、今回の球場照明リニューアルでさらに球場のエンターテインメント性が高まってきた。
それに加えて、新たな試みとして今季から取り入れられるのが、球団公式アプリ「Mアプリ」を用いて行う「SoundFlash」の機能だ。映画やミュージカルのバリアフリー対応や解説サービス、CD・DVDの著作権保護で利用されている「音声透かし」の技術を使い、場内の音響設備から情報を発信。起動されているMアプリがその情報を受信し、スマートフォンやタブレット端末の画面がカラフルに変化するという仕組みとなっている。千葉ロッテ企画部の小林博一氏は機能についてこう説明する。
「今年、球場の中継制作システム入れ替えが決まっていて、その際に受注したパナソニックシステムソリューションズジャパン様から『音声透かしの技術があるんですが、やってみませんか?』と打診がありました。球団側としてもファンが楽しめるイベントやMアプリを利用してもらう目的もあって一致したのです」
過去のMアプリでの演出は「スマホシェイク」
Mアプリの機能を使った球場演出と言えば、過去にはスマートフォンを上下に振ることで大型ビジョンにその数値が表示される「スマホシェイク」が思い出される。今回の「SoundFlash」は球場照明がLED化されたことも一つのタイミングだった。元々、球場照明リニューアルで光を使った演出は考えられていた。小林氏が続ける。
「他球団は“光"を使ったイベントでブレスレットやペンライトを使っています。でもお客さん自身が持っているスマートフォンやタブレット端末を使ったものはどこもまだやっていない。Mアプリを球場でより多く使ってもらいたいという意図もあって、『では、やってみよう』と」
最近のプロ野球界では福岡ソフトバンクの「ホークススターライトフラッシュ」など、光を使った演出もトレンドの一つ。過去、千葉ロッテは他球団に先駆けて2012年に光を使ったイベント「スターライトハーモニー」を開催した実績がある。「顧客満足度も高く、その時のイメージがあって光を使ったイベントをやりたいと考えていた」と小林氏が語るように、球場に来るファンの新たな楽しみとして「SoundFlash」に期待が高まる。
その最初となった開幕戦では試合前のセレモニーで「SoundFlash」は初めて行われ、Mアプリを起動したファンのスマートフォンの画面がカラフルに点滅した。今後はどのような時に「SoundFlash」は実施されるのだろうか。小林氏は言う。
「主にナイターでは通年で行う予定です。試合前ではスタメン発表、オープニングダンス、プレーボール直前に選手が守備位置に就くときなど。試合終了後のヒーローインタビューをメインで考えています」
音声透かしの技術は屋内施設ではこれまで実績はあったが、スタジアム規模の屋外施設では日本初の試みとなる。井口資仁新監督就任だけでなく、千葉ロッテの本拠地・ZOZOマリンスタジアムも大きく変わろうとしている。
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