三振数半減が第一歩「20打席で2割7分くらいになる」
福岡ソフトバンクの宮崎春季キャンプで行われている城島健司会長付き特別アドバイザーによる“城島道場”。正捕手の甲斐拓也捕手の打力アップのために、マンツーマンでアドバイスが送られている。第1クール最終日の3日、城島アドバイザー自ら、甲斐がどうすれば、目指す打率.270に辿り着けるかの道筋を語った。
「自分から(やるとは)言ってない。辞められるものなら今からでも辞めたいです。教えたくないです。給料に入ってないので」と冗談めかして報道陣の笑いを誘った城島アドバイザーだが、その中身について話し始めると、口調は徐々に熱を帯びていった。
その中で城島氏は、昨季打率.227だった甲斐が、どうすれば打率.270へと上昇させられるか、についての考え方も語っていた。その土台となるのが「三振を半分にすれば、70個が結果球になる。そのうちの10個をツースリーからボール球を我慢して(四球にして)、10本くらいヒットにすれば、十分、その20打席で2割7分くらいになる」というものだ。
昨季、甲斐は143試合に出場。479打席に立ち、405打数92安打12本塁打44打点、そして三振はリーグワーストの142個を数えた。城島氏曰く、この三振数を半分の70個前後にし、残る70打席ほどの中で、50打席で凡退しても、10安打と10四球を増やせばいいというのだ。実際に打率.270に乗せるためには、14安打と13四球ほどを上乗せする必要はあるが、とにかく三振を減らすことがその第一歩。そのための打席のアプローチについても、甲斐としっかり言葉を交わしている。
「相手キャッチャーがやって欲しくないことを打席ですればいいだけ」
「捕手の目線という面も踏まえて話をしています。捕手として危ないと思う球はどんな球や、捕手をしていて打たれてもヒットにならん球ってどこや、それを打っていないか、投手が意図して投げたコースを打っていないか、という話をしています。どんな投手でも投げ損ねがあって、それをミスショットせずに結果球にすれば、2割7分は打てると思う」
「守ることと打つことを基本、別に考えている。僕は同じだと思っていて、相手キャッチャーがやって欲しくないことを打席ですればいいだけ。相手バッテリーが攻めにくいバッターになってほしい。打ってもヒットにならない球に手を出して、打たなきゃいけない球を見逃しているんじゃないかなと想像がつく。その球に手を出すためにはどういうスタイル、構えがいいのか。どういうスイングがいいのか、という話なんで」
城島氏は「こう打て、ああ打て、とは言ってません。話をしています」という。幾多の経験を積んできた捕手として、そして日米通算292本塁打を放ってきた打者としての経験を伝えている。昨季途中から取り組んできた右打ちにしても「右打ちって簡単にいうけど、どこの球をどうアジャストしてどう打つとあっちに飛んでいくか、という話。最初からライト方向に打とうと思って打ったことないし、バックスクリーンに打つ球があって、引っ張る球があるんです」と、自身の考えを披露した。
「捕手が打つチームが強いんじゃなく、捕手が打たな過ぎるんですよ。セ・リーグは2人、打たんのがおるみたいじゃないですか。あの守備でそれだけの数字を出した時の給料、考えてほしいですよね。そういう楽しみを持ってほしい。10億くらいになるんじゃないの。捕手が率残すことは特別じゃないというのを証明してほしい」と口にしていた城島アドバイザー。甲斐はこの期待に応えることができるか。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)
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