パ・リーグの打撃成績ランキングをよく見ている方は、昨年まで見慣れなかった名前がとある項目で上位にいることに気付いているかもしれない。盗塁王ランキング2位に、昨年までの3年間で19盗塁だった千葉ロッテ・中村奨吾選手が座しているのだ。
4月26日に両リーグ通じて今季最速での2桁10盗塁に到達した中村選手の5月17日までの盗塁数は、リーグ2位の13。キャリアハイが昨年の11盗塁のため、早くも自己記録を更新しており、今後の活躍次第ではシーズン60盗塁も決して不可能な数字ではない。
最近では2011年に福岡ソフトバンク・本多雄一選手が60盗塁に達したが、その前の60盗塁達成者はパ・リーグにおいては1997年の西武・松井稼頭央選手までさかのぼる必要がある(セ・リーグでは2003年~2005年にかけて阪神・赤星憲広選手が到達)。
ちなみに中村選手と同じ右投右打の選手による60盗塁到達は、両リーグを通じても1983年の大石大二郎選手(当時近鉄)までさかのぼる必要がある。足の速い選手はどの時代も、どのチームにも一定数存在しているものではあるが、シーズン60盗塁という数字は簡単には達成できない大台と言える。
また、もし中村選手が60盗塁を記録することになると、1997年に当時ルーキーだった小坂誠選手が達成した56盗塁を抜いてチーム新記録になるどころか、千葉ロッテのチーム史上初のシーズン60盗塁到達者となる。
中村選手自身も今季は「スタートとスライディングの意識が変わった」というが、井口新監督の下、チームは「走塁改革」で盗塁数が激増。チーム盗塁数43個(5月17日時点)は両リーグ通じて2位の数字で、中村選手のほかにも荻野貴司選手(10個)も中村選手とともに盗塁王ランキング上位に名を連ねる。
中村選手自身は打率.311と好調な打棒に伴い、出塁が増加し、「盗塁機会」も増えている。大砲らしい大砲が不在のチーム状況の中、少しでも先の塁を目指して得点機会を増やし、勝利へつなぐ。「つなぎ」がキーワードとも言えるチームで、今後もそのきっかけを生みだせるか。中村選手の活躍がチームの浮上のカギを握っている。
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