2017年春季キャンプもスケジュールの半分以上が消化され、紅白戦や他球団との練習試合など、実戦形式のメニューが連日行われている。ここでは、パ・リーグ6球団のこれまでのキャンプの模様を大まかに振り返ってみたい。
【北海道日本ハム】
北海道日本ハムは、6球団で唯一海を渡り、アメリカ合衆国アリゾナ州ピオリアでキャンプイン。昨季、新人王を獲得した高梨投手が初日からブルペン入りし、2日目には、7年目の斎藤佑投手が投げ込みを行った。
斎藤佑投手自身は特に変化球に対する手応えを口にしたが、栗山監督も「軌道が変わってきている。結果が出る形を作ってきたなと。今日みたいに投げれば、結果が出るはず」とコメント。また、近藤選手が二塁の守備練習に本格的に着手。完全に二塁手へ転向するというわけではなく、起用法に幅を持たせる方針だ。
3日目には新人で唯一、一軍キャンプに召集されている石井一選手が守備で猛アピール。早稲田大学時代は、1学年上で現・楽天の茂木選手と三遊間を守り続けた経験を持ち、守備は即戦力との呼び声も高い。「遊撃のポジションで勝負したい」と、力強く語った。7日(火)には、新加入の大田選手が、打撃練習で柵越え5本を披露。驚異的な飛距離もさることながら、右方向に狙って打つ器用さも見せた。
8日(水)は、今季初となる対外試合が行われた。相手チームは韓国・KTウィズ。先発マウンドを託された2年目の上原投手は、2イニングスを投げて無失点に抑え、大田選手が2打点を挙げるなど、若手が躍動して快勝した。翌日は紅白戦が行われ、高濱選手が高梨投手から本塁打を放ち、石川直投手が148キロを計測するなど、存在感を発揮した。
ピオリアキャンプの最終日、10日(金)の紅白戦では、今季7年ぶりに日本球界へ復帰した村田投手が、紅組で先発。2回を無安打無失点にまとめた。12日(日)からは、沖縄県名護市に移動し、紅白戦や練習試合などで実戦を多く積んでいる。
【楽天】
久米島で行われた楽天キャンプ。初日、新外国人のハーマン投手と、新入団の藤平投手を除く投手陣全員がブルペン入り。今季から楽天に加わった岸投手も、則本投手と並んで投げ込み、Wエースの豪華な競演が実現した。
2日(木)は、ドラフト1位入団の藤平投手がブルペンに入り、ルーキーながら堂々とした投球を披露した。昨季4番を務めたウィーラー選手やアマダー選手も、フリーバッティングや守備練習でコンディションの良さをアピール。3日(金)には、新外国人のハーマン投手がブルペンに入り、直球を中心に投げ込みを敢行した。新シーズンはどのように起用されるのか分からないが、「投げる場面は問わない」という本人のコメントは心強い。
4日(土)、5日(日)は、ルーキー投手陣がお手本として岸投手の投球を見学したり、岸投手と同じく新加入の細川選手が、ブルペンでベテランらしい気遣いを見せたりするシーンが見られた。フリーバッティングに登板したルーキーの高梨投手は、左打者に対して、左の変則投手らしい持ち味を発揮した。
キャンプ第2クール初日の7日(火)は、侍ジャパンに選出されている則本投手が、キャンプ最多となる117球を投げ込んだ。翌日のシート打撃では、森投手が登板し好投。また、野手では西田選手が2打数2安打と好調ぶりをアピールした。
久米島キャンプ最終日の11日(土)には紅白戦が行われ、則本投手、松井裕投手がそれぞれ1イニングずつの登板。要所を締めるピッチングで、WBCに向けて順調な調整具合が窺えた。昨季チーム最高の打率を残した茂木選手は、2本の長打と好走塁で活躍。試合後、梨田監督は、「岸投手をはじめとした、新しい投手の加入で厚みが増したブルペンの充実」を、今回の久米島キャンプの収穫として挙げた。
【埼玉西武】
埼玉西武の南郷キャンプ初日は、侍ジャパンに選出された牧田投手や、昨夏の甲子園優勝投手で、ドラフト1位入団の今井投手がブルペンに入った。今井投手は、昨季まで岸投手がつけていた「11」を背負い、一球一球丁寧に投げ込んだ。辻監督は「投手陣の仕上がりが早いですね。みんなそれぞれ意識をもって投げていたと思います。若手投手の競争には期待しているし、初日にしては意識も高く良かったかなと思います」とコメントした。
2日(木)、3日(金)には、大卒ルーキーの田村投手、本田投手などがブルペンに入る姿が見られた。本田投手は、昨年オフに行われたU23ワールドカップで結果を残し、今季からの飛躍が期待されている。南郷スタジアム名物であるサブグラウンドからメイングラウンドまでの約150段の階段を登るトレーニングや、これまた名物のランニングメニュー、「坂道ダッシュ」なども行われた。
5日(日)からの第2クールは、今季から一塁守備に挑戦している木村選手や、ベテランの中村選手が山川選手にアドバイスを施す春季キャンプならではの場面も見られた。
8日(水)には、中村選手と新キャプテンの浅村選手が、1時間を超える特守で汗を流した。中村選手に対しては辻監督自らノッカーを務め、「横の動きをさせる」の言葉通り、左右に打球を打ち分けた。また、この日の投手陣のランニングメニューは「鬼ごっこ」。30秒間止まらずに走り回り、インターバルも足を止められない過酷なメニューだが、選手たちの生き生きとした姿が見られた。
10日(金)からはキャンプ第3クール開始。11日(土)のケースバッティングでは、浅村選手、中村選手、呉選手などが安打を量産。浅村選手は全体練習後のロングティーでも柵越えを連発し、ルーキーや若手選手の勢いにも負けない好調ぶりをアピールした。14日(火)には紅白戦が行われ、紅組3番の栗山選手が2安打の活躍。2対0で紅組が勝利した。15日(水)の休養日を挟み、16日(木)からはキャンプ最終クールがスタートしている。
(後編につづく)
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