選球眼と出塁率の高さは健在も、著しく低下していた「BABIP」
16日に北海道日本ハムから来季の契約を提示しないと発表された西川遥輝外野手、大田泰示外野手、秋吉亮投手の3選手。衝撃を与えたこの北海道日本ハムの発表の中でも最もビッグネームなのが西川だろう。北海道日本ハムのリードオフマンとして長らく君臨し、2014年、2017年、2018年、2021年と4度の盗塁王を獲得。ゴールデングラブ賞4回、ベストナイン2回と球界を代表する外野手に。ただ、今季は打率.233と不振に苦しみ、本来の成績を残すことはできなかった。
今季の年俸が2億4000万円だった西川は来季以降、復活できるのか。セイバーメトリクスの指標などでデータ分析を行う株式会社DELTAのデータを基に、復活の可能性を検証してみよう。
今季は打率.233に終わった西川。打率は規定打席到達者29人の中で26位と低迷した。にも関わらず、出塁率は.362に跳ね上がり、これは29人中10位に位置する。四球率を表す「BB%」は例年と変わらない16.3%を記録している。選球眼の良さ、出塁能力の高さは健在と言える。
そんな西川の成績の中で、大きく低下した指標がある。それが本塁打を除くインプレー打球が安打になった割合を示す「BABIP」だ。セイバーメトリクスでは、グラウンド内に飛んだ打球が凡打になるか安打になるかはコントロールできず、運の要素が強いと考えられ、BABIPは平均して.300前後に回帰するとされている。西川は脚が速く、平均的な選手よりもこのBABIPは高くなる傾向があった。
ところが、今季の西川のBABIPは.289と3割を下回った。2019年が.354、2020年は.369だったことを考えれば、著しく低い水準だった。また、今季は過去2年に比べて内野安打率が大幅に低下。2019年が13.0%、2020年が10.7%だったのに対し、今季は5.3%とキャリアで最低の数字だった。ライナー性の打球が減り、フライ打球の割合が増えていたため、これも影響していると見られる。
その一方で、今季も24盗塁で盗塁王に輝いており、多少の衰えはあるかもしれないが、脚力はまだまだ健在。今季の西川は運の部分で恵まれなかったとも言える。このBABIPが西川本来の水準まで戻れば、来季、成績を戻せる可能性は十分にある。肩の弱さから守備面への不安を囁かれる西川だが、条件面次第ではどの球団にとっても大きな戦力となる可能性を秘めている。
(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)
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2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。
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