ダンスフェスティバル開催までに様々な障害や苦労あり。球団スタッフが語る舞台裏

パ・リーグ インサイト 松下雄馬

2017.2.15(水) 00:00

1月8日と9日の2日間、大阪市のオリックス劇場で「パ・リーグダンスフェスティバル2016-2017」が開催された。このイベントは昨年が球界初の開催となり、これまでにない取り組みということもあってか、大きな注目を集めた。そして多方面からの注目が集まる中、イベントは大成功を収め、「必然」ともいえる形で今年も「パ・リーグダンスフェスティバル」の開催が決まった。

そもそも、なぜこのイベントが始まったのかについて、オリックス野球クラブ株式会社の企画事業部企画グループ長・緒方貴弘氏は「球団が単独で行うのではなく、リーグなど、球団間で協力して一緒にできるイベントを実施したいと思ったことから検討を開始しました」と語る。

「特にシーズン中はPLM(パシフィックリーグマーケティング)を中心に親子ヒーロープロジェクトなどのイベントを行っていますが、オフシーズンについてはイベントがほとんどない状況であり、オフシーズンもお客様に喜んでいただけるイベントを検討しました。最終的なイベントとして決まった経緯については、各球団のチアやダンスパフォーマンスの価値が向上し、お客様に支持していただける存在になってきたため、パ・リーグダンスフェスティバルとして実施することになりました」と緒方氏は続けた。

このダンスフェスティバル実現の背景には緒方氏が語った「オフシーズンもお客様に喜んでいただく」という明確な理由が存在した。

ダンスフェスティバルに関わるスタッフは緒方氏だけではなく、各球団のチアを担当する 球団スタッフもこれに該当する。昨年は福岡ソフトバンクホークスのオフィシャルダンス&パフォーマンスチーム・ハニーズのリーダーとして出演し、今年はスタッフとして支える事業統括本部の関まどか氏は「裏方として初めて参加するので、メンバーを見守りながら不安な気持ちとかもあったのですが、お客様の歓声とか熱気が裏にも伝わって来たので、すごく感動しました」とイベントを終えた率直な感想を口にする。

さらに「昨年は振付などで色々覚えることが多く、体力的に大変だったのですが、自分が出ることで楽しさを感じることができました。今回は立場が変わり、お客様に楽しんでいただけるように、そしてメンバーが全力を発揮できるようにというような点を意識して全力でサポートしています」と立場が変わった昨年との違いについてこのように説明する。

1800人を超える観客が詰めかけ、無事に2年連続でパ・リーグダンスフェスティバルが成功したわけだが、まずは企画として成立させるまでに、そして2年続けて「お客様に楽しんでいただく」ためには様々な乗り越えるべき障害が立ちはだかった。

前出の緒方氏は「パ・リーグ6球団で実施しましたが、立地などの物理的な問題もあり、コミュニケーションが限られていた点が非常に大変でした。結果的には各チームのリーダーなどが先頭に立ってこれを解決しましたが、パフォーマンスのコラボ企画など、本番に向けて100%のパフォーマンスをするのが大変でした」とコメント。

このイベントには、“6球団合同で行う”ということに「良さ」があり、その「良さ」を生かすためには、北海道、宮城、埼玉、千葉、大阪、福岡と全国各地に本拠を構える球団の立地という物理的な問題がどうしても生じてしまう。しかし、この問題を緒方氏や関氏をはじめとする各球団のスタッフが何度も話し合いを重ねるなど、一体となってクリアし、イベントを実現させた。

「普段は勝負をかけて争っているチーム同士なので、交流するという機会があまりないですし、真剣勝負で戦っています。このようなダンスフェスティバルも昨年が初めてでしたし、最近はどんどん交流できるようになりつつあり、他のチームのメンバーと会うことによって刺激を受けて、成長にもつながります。また、仲良くなるにつれて『一緒に野球を盛り上げよう』という気持ちが高まるので、すごくいい機会だと感じています。これからもたくさん交流をして、ずっと続けていければいいですね」と関氏はダンスフェスティバルがずっと続いてほしいと願う。

「イベント自体の成功についてはお客様の感想になりますが…。全員の協力により、100%のパフォーマンスは提供できたように思います。今後について、まずはシーズン中に各球団がお客様に喜んでいただけるパフォーマンスを提供していくことが重要だと思っています。その上で、現状は2年連続、大阪で実施しておりますが、開催場所を増やしていけたら良いと思っています」と緒方氏は今後についての展望を述べた。

このような「6球団合同のイベント」の実現はシーズン中では困難であり、この時期だから実現でき、この時期だから見ることができるイベントである。だからこそ、その価値はさらに高まり、見る者を魅了するのだ。

今年のイベントではパフォーマンスの迫力で鳥肌が立ち、終盤の感動で涙を誘われる場面もあるなど、見どころが満載であった。しかし、これで終了というわけでなく、PLMをはじめとするパ・リーグ6球団の取り組みの成長はとどまる所を知らない。来年もまた、さらにパワーアップした「パ・リーグダンスフェスティバル」が見られるはずだ。

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パ・リーグ インサイト 松下雄馬

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