宮崎キャンプ第1クール最終日にマンツーマンで70分超のノックの嵐
福岡ソフトバンク・藤本博史新監督が大きな期待を寄せる右の野手がいる。来季が4年目となる21歳、野村大樹内野手だ。高い期待の現れだろう。宮崎秋季キャンプ第1クール最終日となった7日には全体練習終了後にマンツーマンで70分超、特守のノックを浴びせた。
有観客で行われている今秋の宮崎キャンプ。多くのファンが見守る中、藤本監督と野村の濃密な時間は70分超に及んだ。指揮官自らがノックバットを持ち、次々にゴロを浴びせた。ユニホームを泥だらけにしながら、若鷹もそれを追いかけ続けた。最後には足が攣ったほど。それでも「まだいけます!」と諦めずに食らいついた。
藤本監督が3軍監督だった2019年にルーキーとしてプロ入りしてきた野村。今季は2軍で指導を受け、1軍でも7試合に出場してプロ初安打を含む3安打、3打点をマークした。打撃の非凡さ、勝負強さは評価されており、指揮官は就任会見の時から期待する若手の1人として野村の名前を挙げていた。
「打撃は本当に勝負強いんでね。今年は2軍では1番成長したんじゃないかな。キャラも明るい、いじられっ子ですから。ただ、あの守備じゃ4割打っても、1割5分くらい引かないといけない」
福岡ソフトバンクにとって右打者不足は大きな課題に
藤本監督はこう野村を評価し、この秋季キャンプでは課題である守備力の強化を徹底的に行うように命じている。この日のマンツーマンでの特守もその一環。「向こうの負けですね。足が攣って泣きが入ったからね」と冗談めかしながらも「ああいうことはどんどんやって、僕の体力がある限りやっていきます。気持ちがいいですよね。攣っても止めるんじゃなく、攣ってもラスト5本受けるというのが。あのラスト5本が価値があったと思いますよ」と称えた。
野村自身も目の色を変えている。「準備はしていたんですけど、予想以上の破壊力でした」と苦笑いを浮かべつつ「バッティングはもういいと言われているので、守備ができるようになれば1軍で勝負できる。監督が直接やってくれるのは嬉しいですし、もっともっと頑張らないといけないと思います」と必死になっている。
チームにとって右の強打者、そして内野手というところは大きな課題とされている。松田宣浩は38歳となり、川島慶三は戦力外、今宮健太も30歳となった。今季はリチャードが台頭したものの、左打者が多いチーム状況もあり、右があと1人でも2人でも出てきて欲しいというのが実状だ。
第1クールでアピールの目立った選手の1人としても「打撃の技術の面で目立っていた」と野村の名前を挙げた藤本新監督。大きな期待を寄せられた21歳。このまま一気に来季をブレークの年にしてもらいたいところだ。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)
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