2死から9番打者に適時二塁打され、指揮官自らアドバイス
■北海道日本ハム 3対1 埼玉西武(16日・メットライフ)
埼玉西武の松本航投手が16日、本拠地メットライフドームで行われた北海道日本ハム戦に先発。7回途中まで7安打3失点に抑えた。プロ3年目にして初の1試合2桁奪三振(10奪三振)もマークしたが、相手のエース・上沢に投げ負け、今季8敗目(7勝)を喫した。成長の跡とさらなる課題の両方が見えた。
2回2死から、ロニー・ロドリゲスに111キロのカーブを引きつけられ、左翼ポール直撃の3号ソロを被弾。しかしその後は、続く石井から5回2人目の打者ロニー・ロドリゲスまで、9人連続で打ち取った。高めのストレートを振らせ、快調に奪三振を重ねた。
ところが、5回2死から石井に中前打され、初回以来久しぶりに走者を背負うと、続く9番打者・清水にカウント2-0から甘く入った139キロのストレートをとらえられ、センターオーバーの適時二塁打を浴びてしまう。
なんとも、もったいない点の取られ方。辻発彦監督は「2ボールになって、ストライクを取りにいったやつを打たれた。いい投球をしていただけに、もうひとつ慎重さが欲しかったね」と悔やみ、松本にも直接「相手にしてみれば、一塁走者に盗塁させてアウトになるよりは、9番で終わって(次の回に1番から攻撃)という場面だろう。走者に気を取られてはダメだ」とアドバイスしたと言う。
6回にも1死から野村に中越え三塁打を浴び、続く王に初球のカットボールを中犠飛とされ、追加点を許した。
「どこかこわごわ投げている」厳しい指摘は期待の表れ
2018年ドラフト1位で日体大から入団した松本は、1年目から7勝(4敗)をマーク。2年目の昨季も開幕から先発ローテーションを守ったが、6勝7敗、防御率4.37と好不調の波が激しく、黒星が先行した。今季は5月8日・福岡ソフトバンク戦から6月28日の同カードまで6連勝したものの、その後は8戦に投げ0勝5敗、白星から遠ざかっている。
辻監督は以前から、松本を「彼の武器は、打者がスピードガン表示以上に速く感じるストレート」と評し、「もっと大胆に攻めてほしいのだが、どこかこわごわ投げている」ともどかしい思いを吐露してきた。この日の投球については、「(捕手の森)友哉がよくリードして、高めの真っ直ぐをうまく使った。こういう投球をしてくれれば、次回もまた期待できる」と高く評価した。
1-3の2点ビハインドで迎えた7回、2死から松本剛に外角低めを突いた142キロ速球を中前打されたところで降板。ここでも辻監督はベンチで「低めに投げることを意識し過ぎて、ああやってヒットになってしまうこともある。高めに強い球を自信を持って投げればいい、ということがわかっただろう」と諭した。松本自身は「点の取られ方が悪かったです。長打やホームランで点を与えてしまいましたので」と反省した。
先発投手陣が「手薄」と言われ続けている埼玉西武だが、今季開幕投手を務めた高橋光成、今井達也、20歳の大器・渡邉勇太朗ら、無限の可能性を秘めた若手がひしめいている。首脳陣も試行錯誤しながら成長を促している。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
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