後半戦は打率.152と苦戦、辻監督は「栗山も人間だから、調子が悪いこともある」
■福岡ソフトバンク 6ー1 埼玉西武(25日・メットライフ)
これが産みの苦しみというのか……。プロ20年目で通算2000安打まであと10本に迫っている埼玉西武・栗山巧外野手は25日、本拠地メットライフドームで行われた福岡ソフトバンク戦に「5番・左翼」で出場したが、2打数無安打2四球。ペナントレース再開後は11試合で打率.152(33打数5安打)とペースダウンしている。
初回2死一、二塁の先制機には、福岡ソフトバンク先発・千賀の156キロの速球に押され遊ゴロ。6点ビハインドの8回1死一塁では、2番手の甲斐野に対しカウント3-0から153キロの速球を打って出たが、二ゴロに倒れた。
辻発彦監督は「栗山も人間だから、調子が悪いこともある」と語り「周りが騒ぐから、早く2000本を打ちたい、本拠地で打ちたいと、今まで通りとは違う気持ちもあるのかな。とはいえ打席では集中している。いい投手はそうそう打てないということよ」と思いやった。
球団はTシャツやタペストリーのグッズを製作するなど、達成を後押し
人望の厚いチームリーダーの大記録達成が間近とあって、ファンも球団も報道陣も力が入っている。球団では、ホワイトボードのように専用ペンで数字を書き込んだり消したりできる「KURI-METER Tシャツ」、栗山がヒットを1本打つごとに受注販売する「カウントアップTシャツ&タペストリー」などを製作。身に着けているファンの姿が目に付く。本人も「ファンの皆さんの期待に応えられるように、とにかく1打席1打席を大切に立つだけです」と気合十分だ。
「本拠地6連戦中に達成してほしい」という周囲の声も本人の耳には届いているが、今季は75試合出場で293打席(260打数)64安打。約4.6打席に1安打の計算とあって、ペース的には難しい。埼玉西武はこの後、31日からはZOZOマリン、楽天生命パーク宮城でビジター5試合を行い、9月7日からは本拠地メットライフドームでの試合が8試合続く日程となっている。
本拠地はこの季節は非常に蒸し暑い。9月3日の誕生日に38歳となるベテランにとって酷な環境ではある。同い年の中村剛也内野手と並ぶ打線の中軸であり、肉体的にも精神的にも重圧は大きいが、この日も2四球を選ぶなど“フォア・ザ・チーム”の姿勢に変わりはない。兵庫・育英高からドラフト4位で入団し、3年目の9月24日・近鉄戦でプロ初安打を放ってから足掛け18年。周囲の誰もが望む瞬間が待ち遠しい。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
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