石井監督「いろんな選手の状態を整えていかないといけない」
■埼玉西武 10ー2 楽天(15日・メットライフ)
8年ぶりの優勝を目指しパ・リーグ2位につける楽天は15日、敵地・メットライフドームで行われた埼玉西武戦に2対10で敗れた。先発の涌井秀章投手が2回6失点KOされたのも衝撃的だったが、一軍合流後好調な打撃を披露していたオコエ瑠偉外野手がわずか1打席でベンチに下げられたのもショッキングだった。
オコエは今季一軍初昇格を果たしたカード初戦(13日)に「7番・右翼」でスタメン出場し、第1打席でいきなり先制適時打。14日の同カードでも2日連続先制打を放ち、「食らいついていこうという気持ちが表れている」と石井一久監督が語るなど評価はうなぎ上りだった。
この日も3試合連続で先発出場したが、2回2死2塁で迎えた第1打席は遊ゴロ。その裏の守備では、外崎の詰まった当たりに前進しながら、二塁手・浅村との間に落ちるテキサスヒットにした。さらに森が放った飛球も守備範囲に見えたが、ワンバウンドで処理し2点二塁打に。やや消極的にも見えた。すると、0対6と大量リードされワンサイドになりかけていた5回の攻撃で、先頭で第2打席に入るはずだったオコエの代打として、ブランドン・ディクソン内野手が送られた。
石井監督は試合後、「深い意味はないです。決まった選手でやっていくより、いろんな選手の状態を整えていかないといけない」と語り、「ディクソンにはこの3連戦であそこしか(出場機会を)渡せない状況だったので、3打席くらい立たせたかった」と説明した。
助っ人含めてポジション争い激化ならチーム力アップの期待
ディクソンは、埼玉西武先発・渡邉勇太朗の初球のカットボールをとらえ中前打。そのまま右翼の守備に就き、3打数1安打1打点をマークした。一方、ルスネイ・カスティーヨ外野手も9回、先頭の岡島の代打で登場し平良から左中間二塁打を放った。
新外国人の2選手はレギュラーと目されて加入した。しかし、コロナ禍で来日が開幕に間に合わず、チーム合流後もカスティーヨは左脇腹痛、ディクソンは打撃不振で二軍落ちを経験するなど出場機会が伸びない状況にある。このカードも1戦目と2戦目はベンチ入りしながら出番がなかった。
首位オリックスを1.5ゲーム差で追う楽天。ディクソンとカスティーヨが戦力として機能し、ポジション争いが激化すれば、チーム力はアップする。その中でオコエのような若手が勝ち残り、長くレギュラーを張れるようになれば何よりだ。一軍昇格後いきなり結果を出したオコエにとっては、レギュラーの座はそう簡単に手に入るものではないと思い知らされることになった。石井監督の起用には、さまざまな深謀遠慮が見え隠れする。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
記事提供: