2016年10月29日、北海道日本ハムが10年ぶりとなる日本一に輝いた。シーズンが終了して早くも2ヶ月近く経過したが、「SMBC日本シリーズ2016」第5戦の北海道日本ハム・西川選手の日本シリーズ史上2人目となるサヨナラ満塁本塁打が印象に残っている方は多いだろう。2勝2敗の五分で迎え、勝った方が日本一へ王手をかけられる大事な試合。9回裏に迎えた2死満塁という絶好機で西川選手はしっかりとチャンスをものにし、日本シリーズ制覇に王手をかけた。
一打勝ち越し、それもシリーズ全体の流れを引き寄せる重要な場面で結果を残した西川選手のように、プレッシャーのかかる場面でいつも以上に打撃能力を発揮する選手、つまり「チャンスに強い選手」というとどの選手が思い浮かぶだろうか。ここでは、パ・リーグの選手の過去10年のデータを基に「チャンスに強い選手」を紹介していく。
【北海道日本ハム・田中賢選手】
2009年:得点圏打率.322 打率.283
2010年:得点圏打率.419 打率.335
2015年:得点圏打率.346 打率.284
2016年:得点圏打率.300 打率.272
今季優勝した北海道日本ハムの選手で、2006年の日本一を経験している数少ないメンバーの一人である田中賢選手。チームに安心感を与える精神的支柱として支え、日本一に大きく貢献。アメリカでのプレー経験のある35歳のベテランの勝負強さは、2009年、2010年から現在まで変わらない。ここでは得点圏打率が3割超えとなったシーズンのデータを記載したが、メジャーへ移籍した年や怪我で離脱した年を除けば、ほとんどのシーズンで高い得点圏打率を残している。特に2010年は得点圏打率が.419と、過去10年間で最も高い数字を記録する好成績を残した。
【埼玉西武・栗山選手】
2008年:得点圏打率.325 打率.317
2009年:得点圏打率.305 打率.267
2010年:得点圏打率.337 打率.310
2011年:得点圏打率.380 打率.307
2014年:得点圏打率.301 打率.288
今季まで埼玉西武のキャプテンとして、チームを牽引してきた栗山選手。持ち味は何といっても、その勝負強い打撃である。上記のシーズン以外でも3割近い得点圏打率を何度も記録しており、まさにチャンスに強い打者といえる。今季の出塁率は、チームメイトの秋山選手より高い.390をマーク。栗山選手の一打席に懸ける思いの強さは、チームメイトの良き目標となっている。
【福岡ソフトバンク・柳田選手】
2014年:得点圏打率.331 打率.317
2015年:得点圏打率.413 打率.363
2016年:得点圏打率.314 打率.306
柳田選手は現在も継続中となる3年連続で打率3割、得点圏打率3割を記録。早くからその素質を評価され、2015年にはトリプルスリーを達成。素質が完全に開花する充実の一年となった。昨季は怪我にも泣かされ、やや苦しんだものの、終わってみれば打率・得点圏打率ともに3割超えという成績を残した。「柳田選手なら何とかしてくれる!」と誰もが思える、頼れる主砲としてこれからもチームを支えていく活躍が期待される。
【福岡ソフトバンク・内川選手】
2011年:得点圏打率.341 打率.338
2013年:得点圏打率.326 打率.316
2014年:得点圏打率.331 打率.307
2016年:得点圏打率.302 打率.304
内川選手といえば、プロ野球における右打者史上最高打率保持者であり、史上2人目の両リーグ首位打者獲得者である。その超一流プレーヤーぶりは今さら言うまでもないが、チャンスにも強く、チームへの貢献度も非常に大きい。
7年連続打率3割達成者でもある内川選手は、3割には届かなかったものの2012年と2015年にも得点圏打率.299という数字を残した。今季は中田選手に次ぐ106打点をマークするなど、勝負強い打撃でチームを勝利に導いている。
「得点圏打率が高い=チャンスに強い選手」とするならば、上記の選手たちが該当すると言っていいだろう。実際に試合を見ていても、これらの選手は点が欲しい場面で重要な一打を放っている印象が強い。
チームの勝敗を決する場面での勝負強さは、プロ野球選手にとって必要不可欠な能力である。ここぞという場面でいかに自分の能力を発揮できるか、そこが勝負を分ける重要なポイントとなり、チームにとってもありがたい存在であると言える。
記事提供: