昨季、球団ワーストの87敗を喫した千葉ロッテ。最下位からの巻き返しを期す今季は3・4月を12勝12敗、勝率5割という成績で終え、5月に突入した今も奮闘を続けている。
井口監督が掲げる“機動力野球”が浸透
オープン戦で12球団2位タイの19盗塁を決め、足を絡めた野球への意識が浸透している。シーズンが開幕してからも積極的な走塁が目立ち、4月終了時点でリーグトップの34盗塁を記録。4月10日の埼玉西武戦(ZOZOマリンスタジアム)では、積極的な走塁で決勝点を奪い、開幕から続いていた埼玉西武の連勝を8で止めた。
4月10日、1対1の6回。先頭の荻野貴選手が死球で出塁すると、2番・藤岡裕選手への初球で盗塁成功。藤岡裕選手は2ボールから犠打で荻野貴選手を三塁に進ませ、続く中村選手が四球と二盗で好機を広げる。そして4番・井上選手の犠飛で勝ち越しに成功した。
足を絡めて無安打で得点を挙げ、井口監督が掲げる“機動力野球"を体現する試合だった。
小技を絡めてオリックスのエースを攻略
4月17日のオリックス戦(ZOZOマリンスタジアム)では、3安打ながら小技を絡めて5対3で勝利した。
その試合、オリックス先発・金子千尋投手の前に、千葉ロッテ打線は4回までノーヒットに抑え込まれる。0対1で1点を追う5回、先頭の鈴木選手がこの日チーム初安打となる二塁打を放つと、続く菅野選手が犠打。その打球を金子千尋投手が一塁へ送球するも、二塁手・大城選手が後逸。その間に二塁走者の鈴木選手が生還し、同点に追い付いた。
さらに福浦選手が四球を選び、続く清田選手が送ると、田村選手への5球目にオリックスの伊藤選手がパスボール。三塁走者の菅野選手が生還し勝ち越しを果たす。打席の田村選手も、11球粘った末に適時三塁打を放った。
その後同点に追い付かれたが、7回は先頭の清田選手が四球、続く田村選手がきっちり送ると、二死後、藤岡裕選手が決勝2ランをかっ飛ばした。
この日3安打で勝利した千葉ロッテだが、4犠打中3犠打が得点に結び付いている。大砲がいなくても打てなくても勝つ、昨季までにはない“いやらしい"野球のやり方だった。
守備に綻び
足を使った野球で“今年の千葉ロッテは違うぞ!"というところを見せていたが、4月20日からの埼玉西武3連戦では29失点を喫し、今季初の同一カード3連敗。4月16日まではチーム失策数1と鉄壁を誇っていたが、この3連戦で目立ったのが守備のミスだった。
初戦の4月20日は、昨季4試合の登板で防御率0.62と抑え込まれた菊池投手から5点を奪う。しかし5対3で迎えた8回、1死満塁から外崎選手を遊ゴロ併殺打に打ち取ったかに思われたが、二塁手・中村選手が一塁へ悪送球。二者の生還を許し同点に追い付かれた。
そして栗山選手に勝ち越し適時打を浴びると、遊撃手・藤岡裕選手の悪送球でも失点。勢いのついた埼玉西武打線を止められず、この回だけで6点を失い逆転を許した。最終回には守護神・増田投手を攻め立てて3点を返すも、最終的に8対9で敗れた。
3戦目も守備のミスから失点した。初回無死2塁から、一塁手・井上選手が源田選手の打球をファンブル。二塁走者の秋山選手の生還を許し、先制点を与えてしまう。3点を追う2回には1死1,2塁から源田選手がセンターへ放った打球を、記録は二塁打となっているものの、中堅・荻野貴選手が目測を誤ったことで二者の生還を許した。
さらに5点を追う4回無死1塁から、源田選手の一ゴロを井上選手が再びファンブル。1,2塁となり1死後、山川選手に3ランを浴びた。
埼玉西武の3連敗を引きずらず!
埼玉西武との3連戦で3連敗を喫したが、続く楽天戦は2連勝。4月28日から本拠地・ZOZOマリンスタジアムで行われた北海道日本ハムとの3連戦は、2勝1敗で勝ち越す。
26日の楽天戦ではエース・涌井投手が9回を1人で投げ抜き完封勝利。29日の北海道日本ハム戦では、序盤からリードを許す展開となったが、4回から登板した2番手・有吉投手が2イニングスを無失点に抑えると、6回からマウンドに上がった田中靖投手も1イニングを3者凡退に抑えるピッチングを見せた。
救援陣が流れを作り、6回裏にルーキーの藤岡裕選手の2点適時三塁打で逆転に成功。1点のリードを大谷投手、シェッパーズ投手、内投手のリレーで守って逃げ切った。
いやらしい攻撃を見せる千葉ロッテは、大谷投手の復帰後は救援陣にも安定感が出てきた。5月最初の福岡ソフトバンク戦ではまたも同一カード3連敗を喫してしまったが、月末には交流戦がスタートする。今月ははたして多くの貯金を作ることができるだろうか。
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