「思いがいいよね。魂みたいな」―ハム栗山監督が称賛するアルシアの魅力

Full-Count 石川加奈子

2018.5.8(火) 14:23

北海道日本ハムのオズワルド・アルシア
北海道日本ハムのオズワルド・アルシア

新助っ人はチーム2位の打率.298をマーク「本当に能力が高い」

北海道日本ハムの新外国人・オズワルド・アルシア外野手が好調なスタートを切っている。打率.298は、近藤健介捕手に次いでチーム2位の数字。リーグでも9位で、外国人選手ではトップの打率だ。先月28日の敵地千葉ロッテ戦で驚愕の150メートル弾を放ったパワーに加え、巧打者の片鱗も見せつつある。

これほど早く日本の野球に適応できた要因について、栗山英樹監督は「本当に能力が高いよね。ちょっと言えないんだけど、日本で活躍する選手のバッターの待ち方にはある程度、方向性があって、そういうのに早く気がついている」と分析する。

対応力の“肝"になる部分については具体的に明かさなかったが、新外国人にはいつも伝授しているという。ただ、それをすぐに実行する外国人はそう多くはない。

「教えても、そういう風になかなか思えないんだろうね。向こうでやってきた感覚があるから。『自分はこういう風にやってきたし』と思っているんじゃない?でも、日本のピッチャーはそういう風に投げてくれないので」と指揮官は話す。

3年間で105本塁打を放ち、16年には本塁打王に輝いたブランドン・レアード内野手でさえ、1年目のスタートは苦労した。シーズン終了時には打率.231で34本塁打の成績を残したものの、7月までは打率1割に低迷していた。

オープン戦は不調も球筋と配球を見ることを重視「変化球に対応しないと」

それだけに、いち早く対応したアルシアの適応力が際立つ。「最近すごく調子がいい。ピッチャーが何を投げてきているか見えているので」とアルシア。ストラクゾーンで勝負せず、変化球を多投する日本の投手の攻め方にすっかり慣れた様子だ。

22歳でメジャー昇格を果たしてメジャー通算44本塁打を放った左の大砲は、日本に来てもブレることはなかった。オープン戦では26打数6安打と結果を残せなかったが、投手の球筋と配球を見ることを重視。ほかのバットに目移りしたりすることなく、米国時代から使っている34インチ(約86.36センチ)、32オンス(約907.19グラム)のメープル製バットを使い続け、自分のスイングを日本の投球スタイルにアジャストさせることだけに注力した。

「一番多く投げてくるのは変化球だから、それに対応しないとヒットは出ない。アメリカ時代も変化球への対応は意識してきたこと。データは少しだけ頭に入れている。どういう変化球と真っすぐを投げるのかは、試合前に必ず映像で確認しているよ。それもアメリカでやっていたことと同じだよ」とアルシアは明かす。疲れが出てくるシーズン後半には、例年通り31オンス(約878.84グラム)と少し軽いバットを使う予定だ。

栗山監督は闘争心を全面に出したプレーを評価「本当に原点だよね」

3Aながら昨季打率.326、24本塁打を放った技術に加え、栗山監督は戦う姿勢についても高く評価している。全力疾走は当たり前、闘争心を前面に出したプレーは、チームにも化学反応を起こしつつある。

「戦う、勝つんだ、相手をやっつけるんだ、という本当に原点だよね。走塁を一生懸命やるとかそういう話じゃなくて、勝ちたいと思ったら、全力でベースを取りに行く。それが自然な姿。そういう元々の魂がしっかりある。こっちが思っている野球もそういうもの」と指揮官。新助っ人は、最後まで諦めずに全力で戦うファイターズスタイルに合致している。

オープン戦では日本人投手の配球にイライラして、3月23日のヤクルト戦で三振した直後にバットを自らの右太ももに叩きつけて真っ二つにへし折った。試合後には監督室を訪ねて栗山監督に謝罪。そんなエピソードも、ここまでの全力プレーを見れば、野球に懸ける思いの裏返しだったと理解できる。

「普段やんちゃでもいんだよ。野球をやる時に、野球にだけは嘘つかないと必死にやってもらうというのがこっちの思いなので。(アルシアの)思いがいいよね。魂みたいな」と目を細めながらうれしそうに語った栗山監督。ベネズエラからやって来たファイターは、すでにチームに欠かせぬ存在になっている。

記事提供:Full-Count

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