北海道日本ハム新人でただ1人開幕1軍入りした西村、吉井コーチは「真っ直ぐの質が上がっている」
2日に初めて1軍選手登録される北海道日本ハムの清宮幸太郎内野手に注目が集まるが、チームには一足先に活躍しているルーキーがいる。NTT東日本からドラフト2位で入団した西村天裕投手だ。
北海道日本ハムのルーキーでただ一人開幕1軍入りを果たした24歳右腕は、貴重な中継ぎとしてすでに11試合に登板。1勝1敗2ホールド、防御率3.86の成績を残している。
武器は150キロを超える直球だ。吉井理人投手コーチは「真っ直ぐの質が上がっている。オープン戦の頃にはアバウトだったけれど、アウトロー率が高い。練習からそういう意識を持って一生懸命やっている」と評価する。
西村自身も直球の変化を感じ取っている。「直球の回転数というか切れは上がっていると思います。シーズンが始まって、慣れてきたからですかね。社会人時代から実戦向きだと言われていました。変化球はまだまだなので、タイミングをずらすために使いながら、真っすぐを生かすピッチングを心掛けています」と話す。
どんな場面でも臆することなく向かっていく投げっぷりの良さも魅力だ。「(フォームの)躍動感は意識しています。バッターも嫌でしょうから。(打者攻略は)データを見ながらですけど、気持ちです」と笑う。
気合いを前面に出した投球スタイルでチームに流れを呼び込むこともしばしば。緊迫した場面での登板も増えてきた。
打たれても引きずらないメンタルの強さ「すぐに取り返すチャンスがありますから」
気持ちの強さは、リリーフ向き。打たれたことを引きずることはない。「ダメでも、すぐに取り返すチャンスがありますから」とサラリ。一発勝負のトーナメントが主戦場だった社会人時代には、悔しくて眠れない日もあったという。
「今はそういうことはないです。トーナメントは切り替えるということもなく、負けたら終わり。今は反省できるので、それを次に生かせばいいと思っています」とプロで生き抜くための考え方をしっかり持っている。
実際、先月29日の千葉ロッテ戦では1点リードの6回2死一塁で登板し、2連打を許してプロ初黒星を喫した。だが、翌日30日の千葉ロッテ戦では2-4の7回に登板して1回を無安打無失点とすぐさま汚名を返上した。前日逆転の適時三塁打を許した千葉ロッテのルーキー・藤岡裕大内野手もきっちり左飛に打ち取った。
都市対抗と日本選手権という2大大会にピークを合わせる社会人と異なり、プロでは6か月という長丁場での体調管理が求められる。開幕から1か月。西村はここまでうまく乗り切っている。
「いつコンディションを崩すかなと思っていた」と心配していた吉井投手コーチも「本当によくやっている」と目を細める。
「投げない時にどれだけ疲れを残さないかを考えています。移動先ではファンの方にもらった入浴剤を使って30分から1時間お風呂に浸かっています。お酒は弱いので、誘われた時に行く程度。休みはしっかり体を休めるようにしています。ここまで疲れは感じていないですが、どこかでへばると思います。その時にどうするかですね」と先を見据えてのコンディション維持に余念がない。
目指すは新人王だ。「手応えですか? このまま、いいピッチングを続けていけたら…。まずは投げたら自分の試合を全うするだけです」と力を込める。
開幕から抹消されることなくずっと1軍にいるリリーフは、宮西、トンキン、石川直と西村の4人だけ。完投勝利や殊勲打といったド派手な活躍で表舞台に登場することはないが、チームにとって欠かせぬ戦力になっている。
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