2018年のパ・リーグも1カ月が経過し、全球団が対戦カードを1周。2週目に入っている。現在は好調のチームと不調のチームがくっきりと分かれた形となっているが、シーズンはまだ始まったばかり。今回は6球団それぞれの現在までのチーム状態を総括していきたい。
北海道日本ハム リーグ2位
今シーズンはここまで14勝11敗。投打に圧倒的なインパクトを残した大谷選手をはじめとして、守護神や正捕手といった主力が抜けたことで苦戦が予想されていた中、まずまずのスタートを切ってリーグ2位に浮上している。
18日の埼玉西武戦では最後の2イニングスで8点差をひっくり返されてしまったが、救援陣は石川直投手、トンキン投手が奮闘中。先発では新外国人のマルティネス投手が開幕から全試合でクオリティ・スタートを達成するなど好投し、さらに上沢投手が2勝、防御率1.69と抜群の安定感。一気に大ブレイクの1年となりそうだ。
近藤選手はまたもケガで戦線を離脱してしまったが、新外国人のアルシア選手が打率.276、出塁率.360と活躍しており、主軸を務める中田選手、レアード選手にも復調の兆しが。今年も前評判をひっくり返して、「らしい」戦いを見せてくれそうな予感だ。
楽天 リーグ6位
開幕からカード勝ち越しが一度もなく、26試合を終えて白星はわずか6つ。単独最下位に沈んでいる。カード2巡目に突入し、なんとか復調のきっかけが欲しいところだ。
投手陣では、絶対的守護神の松井投手が防御率6.30とまさかの大不振に陥り、福山投手、高梨投手といった昨季の勝ちパターンも安定感を欠くピッチングが続いたまま。昨季2桁勝利を挙げた美馬投手も防御率6.75と苦しみ、二軍に降格している。
野手陣では「恐怖の2番」として強烈なインパクトを残していたペゲーロ選手が、やや復調の気配を見せつつも打率.181と大不振。ウィーラー選手もまだ2本塁打と打線全体が打撃不振に陥り、島内選手が故障で戦線を離れたことでも攻守に大きな穴が開いてしまった。
それでも岸投手が4試合に先発して防御率2.48と安定しており、辛島投手も4試合で防御率1.82と奮闘。中継ぎ陣に不安がある中でも一時チーム防御率リーグトップに立っていたのは、彼らの踏ん張りがあったからだ。
相手先発の乱調に付け込んだ形とはいえ、12得点を奪って快勝した15日の埼玉西武戦を復調のきっかけとしたいところだったが、4月30日現在も最下位脱出はならず、7連敗を喫している。昨季序盤はリーグ首位を快走し、クライマックスシリーズで福岡ソフトバンクを追い詰めたチームの復調を、都の杜のファンたちは願っている。
埼玉西武 リーグ1位
昨シーズン終盤の勢いが本物であったことを証明するかのように、開幕から破竹の8連勝。見事にスタートダッシュを決めた。10日からの千葉ロッテ戦で連敗した後も立て直して3連勝。18日の北海道日本ハム戦では奇跡的な逆転劇で魅せ、首位を快走している。
何と言っても、3割打者がずらりと連なる強力打線は相変わらず迫力満点。チーム打率は12球団トップの.293を誇り、4番の山川選手は現在パ・リーグ本塁打王・打点王の二冠。昨季苦しんだベテランの栗山選手の活躍ぶりも頼もしい限りだ。
18日の北海道日本ハム戦では8点ビハインドをひっくり返してサヨナラ勝ちを収め、そこから5試合連続で9得点以上を挙げるなど、その勢いはとどまるところを知らない。日本一まで駆け上がった2008年以来となるリーグ優勝に向けて、伸び盛りの若獅子たちはこの強さを維持することができるか。
千葉ロッテ リーグ4位
昨年は球団ワーストの87敗を喫して最下位に沈んだが、今季は井口新監督のもと「機動力野球」が早くも成果を発揮。昨シーズン全体で78個だった盗塁数は、今季24試合で早くもリーグトップの34個と、試合数を大きく上回る数を記録している。先の塁を狙う姿勢を徹底することで、得点数も埼玉西武に次ぐリーグ2位と向上を見せた。
不動のリードオフマンの荻野貴選手と3番の中村選手が、3割台の打率とリーグ上位の盗塁数を記録してチームを引っ張り、ルーキーの藤岡裕選手と菅野選手もレギュラー定着。ここ2年は不振に苦しんでいた清田選手も復活の兆しを見せるなど、得点力不足にあえいでいたチームは新指揮官の下で生まれ変わった姿を見せつつある。
投手陣では石川投手が4試合で3勝無敗、防御率2.20と完全復活を強く印象付けている。さらに26日に今季初完封を決めた涌井投手に加えて、新外国人のボルシンガー投手も及第点以上のピッチングを見せており、先発ローテーションにも一定のめどが立った。
ところが、昨季はルーキーながら中継ぎとして大車輪の活躍を見せた有吉投手が防御率5.54と安定感を欠き、シェッパーズ投手も防御率4.50。この2人は復調の気配を見せつつあるものの、2年目の酒居投手は不振から脱せず二軍降格。新戦力のオルモス投手や、2年目の飛躍が期待される佐々木投手は一軍での登板機会を得られていないままだ。
打線では鈴木選手が打率.205と状態を上げられず、レギュラー定着に期待のかかった加藤選手も打率.188と絶不調で開幕直後に登録抹消。4番構想もあった角中選手は骨折で長期離脱となっており、新外国人のドミンゲス選手は二軍で昇格機会をうかがっている状況だ。
ただ、勝負強い打撃を披露している福浦選手が、節目の2000安打達成に向けて、一歩ずつその歩みを進めている。千葉ロッテ一筋の大ベテランが偉大な記録を達成する瞬間を多くのファンが待ちわびているはずだが、本人もチームも見据えているのはその先だ。前年最下位からの大逆襲に向けた正念場はここからである。
オリックス リーグ5位
ここまで10勝15敗1分で、順位は5位。Aクラス入りに向けて一進一退が続いている。エースの金子千尋投手が防御率5.75と安定感を欠き、西投手も防御率2.06ながら2勝3敗。投打のかみ合わない試合はなすすべもなく落としてしまっている。
ただ、アルバース投手とディクソン投手の両外国人が安定した投球を見せ、ローテーションを支える存在に。かつてセットアッパーとして大活躍した比嘉投手も7試合に投げて防御率0.00と、復活の兆しを見せている。
打線では吉田正選手が開幕からケガなく出場し、相変わらずレベルの高い打撃を披露している。1番打者として起用され続けている宗選手も苦しみながら必死に役割を果たし、30日にはプロ初本塁打となる先頭打者弾を放った。また、第3捕手と見られていた伏見選手が打率.308とアピール。一塁でスタメン起用されるなど活躍の場を広げている。
ただやはり、今後さらに上を目指すためにはエースと4番の復調が不可欠。金子千尋投手とロメロ選手が本来の力を発揮すれば、チームに勢いがもたらされる可能性は高い。
福岡ソフトバンク リーグ3位
開幕直前、とりわけ捕手陣にケガ人が続出し、綱渡りのような状態が続いた。
先発ローテーションの柱である千賀投手、バンデンハーク投手が防御率5点台、武田投手や東浜投手も防御率4点台と苦しんでいる。中継ぎ陣でも岩嵜投手の長期離脱が決定し、絶対的守護神のサファテ投手もチームを離れた。
ただ、開幕には間に合わなかった明石選手や高谷選手が早々に復帰し、11日から5連勝。苦しい投手陣の中では、石川投手が中継ぎ・先発含めた7試合で防御率1.59と、献身的な働きを見せ、中田投手も5試合に先発して2勝1敗、防御率3.60の成績を残している。
また、本多選手が19試合で打率.281、4盗塁と、復活を感じさせるプレーを見せている。柳田選手もパ・リーグ11年ぶりのサイクル安打を放ち、スタメンでただ1人、打率3割を突破するなど絶好調。これまでも主力の離脱を層の厚さでカバーしてきた王者だが、改めてそのチーム力が試されるシーズンとなりそうだ。
以上、開幕1カ月が経過した中でパ・リーグ6球団のチーム状態を総括した。どのチームにも少なからず誤算はあり、それをカバーできるだけの戦力が台頭しているチームが自然と上位争いを演じている格好だ。
とはいえ、開幕から20数試合の時点でペナントレースの行方が決まるわけではない。ここからの反攻に向けて、あるいはさらなる躍進に向けて。今後の各球団の戦いぶりに要注目だ。
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