田中将大と全試合バッテリーを組んだ太田光 “相方”の座をつかんだ奮闘劇

Full-Count

2021.3.22(月) 09:00

楽天・田中将大(右)と太田光※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
楽天・田中将大(右)と太田光※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

課題の打撃も成長オープン戦打率.353

■楽天 6-3 巨人(オープン戦・20日・東京ドーム)

 公式戦開幕を前に“マー君の相方”の座は確保した。楽天の太田光捕手は20日、田中将大投手とバッテリーを組んで巨人とのオープン戦(東京ドーム)にスタメン出場し、7回3安打1失点に抑えた。練習試合を含め田中将の実戦登板全5試合でマスクをかぶった。

「まだまだサインが1発で合わない時がある。常に合うことが良いとは限らないけれど、やはり2人の意思を統一できた方が、抑える確率は高くなると思う。相手打者のことも勉強しながら、全試合勝てるようにやっていきたい」。2月のキャンプから続いてきた田中将とのやり取りを振り返り、太田はそう語った。

 実戦登板のみならず、沖縄・金武キャンプ中の2月7日に田中将が初めてブルペンに入った時も、球を受けたのは太田だった。名前は「ひかる」と読み、お笑いコンビ「爆笑問題」の太田光(ひかり)とは漢字で書けば同姓同名。田中-太田の“爆問バッテリー”だと話題になったが、太田にとってはとても笑ってはいられなかった。ブルペンでも、宿舎ホテルの食事会場でも、田中将と語り合い、その投球スタイルについて理解を深めた。

 それでも、オープン戦ではサインに何度も首を振られるシーンがあり、その上で田中将から「一方通行は嫌。僕もキャッチャーがどう考えているのかを知りたい。お互いに意見を出しながらやっていきたい」と主体性を求められた。プロ3年目・24歳の太田にとっては容易なことではなかった。

石井監督「本人も結果が出て安心していると思う」

 公式戦開幕後も当面、田中将の球を捕るのは太田以外に考えられない。石井一久監督は「バッテリーはコミュニケーションを多く取ることで、捕手がそのボールを要求した根拠や、投手がサインに首を振ってそのボールを投げた根拠をお互いに理解できる」と説明。「田中と太田は多くの時間を費やしてきた。このままシーズンに向かってほしい」と期待を寄せる。

 課題と言われてきた打撃にも、成長のあとがうかがえる。この日、1点を追う5回2死一塁で、巨人・田中豊の147キロの外角速球を逆方向の右翼席へ放り込む逆転2ラン。これには、次の回に備えてベンチ前でキャッチボールをしていた田中将も、あっけにとられた表情を浮かべていた。6回2死二、三塁では鍵谷から左前2点適時打。オープン戦7試合の通算打率は.353(17打数6安打)に跳ね上がった。石井監督は「打撃コーチといろいろ取り組んできた中で、ここに来てスイングの形、打撃フォームが見えてきた。本人も結果が出て安心していると思う」とうなずいた。

 太田は昨季、チーム最多の67試合でマスクをかぶり、リーグトップの盗塁阻止率.333もマークしたが、不動の正捕手とまでは言えない。石井監督は「あまりコロコロ変えるのは好きではない。できれば捕手は1人に決めたい」と話してきたが、先発ローテ要員のうち、岸孝之投手や瀧中瞭太投手は昨季から下妻貴寛捕手と相性が良く、今年のオープン戦でも専らバッテリーを組んでいる。

 常時出場するためには、まだ何かが足りない。それをつかむためにも、田中将とバッテリーを組み、日々意見をぶつけ合うことは、願ってもないベースとなるはずだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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