福岡ソフトバンク、オリックス、埼玉西武がSMBC e日本シリーズ出場をかけて対決
2月28日、esports 銀座 studioにてコカ・コーラ eクライマックスシリーズが行われた。2020年シーズン、初のリーグ優勝を決めた福岡ソフトバンク、2位・オリックス、3位・埼玉西武の3チームが、3月6日に行われるe日本シリーズへの出場権をかけてトーメントを戦う。
ファーストステージ、ファイナルステージともに2勝先取の3ゲーム制。1勝1敗1分など、タイの場合は上位チームが進出する。試合はeペナントレースにおける5イニングを1選手で戦うルールとは異なり、1選手が3イニングを担当し、3人で9イニングをつなぎ1試合を戦うチーム戦だ。なお、アドバンテージとして球場はすべて上位チームの本拠地で行われた。
オリックスが埼玉西武を圧倒し、ファーストステージを制する
ファーストステージはオリックスと埼玉西武が、パ・リーグ王者・福岡ソフトバンクへの挑戦権をかけて対決。初戦はオリックス・藤本洋介選手が初回にいきなり吉田正尚選手の2ランで先制すると、さらに2回裏には吉田正選手の3ランなどで4点を挙げる。序盤から点差を広げたオリックスは、その後も高川悠選手、キャプテンの指宿聖也選手とつなぎ、8対0でライオンズ打線を完封し、ファイナル進出へ大手をかけた。
2戦目はオリックス・指宿選手と埼玉西武・町田和隆選手と両チームのキャプテンが初回から激突。指宿選手は初回に4点を奪うも、直後の2回表に木村文紀選手の3ランを許し、埼玉西武が追い上げムードに。しかし3回裏に吉田正選手のソロ本塁打などで2点を追加し突き放すと、続く前田恭兵選手、高川選手と安定した守備を見せる2選手がリードを守りきり、6対4で勝利。2連勝でオリックスがファイナル進出を決めた。
敗れた埼玉西武の町田選手は「要所で良いプレーはありましたが、オリックスのチーム力に力負けした形になったと思います。初戦の失点も最悪は回避できました。ただ、ヒットを打つことはできたのですが、点につながらず……大量点を取ることにこだわりすぎました。1点ずつ返せれば良かったです」と悔しげに試合を振り返った。
今季は前年優勝した千葉ロッテから移籍。キャプテンとして日本一奪還を期待されてのシーズンだった。そんなシーズンを町田選手は「昨季は自分がルーキーだったので、自分のプレーに集中させてもらっていました。今季はチームにルーキーの2人がいて、他の人のプレーも見ながらのシーズンになりました。その中で3勝できたのが良かったです」と語った。
ファイナルステージは福岡ソフトバンクが制し、SMBC e日本シリーズ進出決定!
ファイナルステージの初戦はオリックスの先鋒を務めた藤本選手がファーストステージ同様に好調ぶりを発揮し、2本塁打などで3点を先行する。福岡ソフトバンクは先発の山本由伸投手からなかなか走者を出せず、4対2でオリックスが勝利。2戦目も藤本選手に初回から2点を奪われ、この勢いのままオリックスが逃げ切るかと思われた。
しかしここは王者・福岡ソフトバンクが意地を見せる。6回裏に2番手・平山大輝選手が1点を返して2対1とする。「あれでいい流れになった」と流れに乗ってキャプテン・加賀谷颯太選手が続く7回裏、満塁のチャンスをつくった。一打逆転のチャンスで打席に入ったデスパイネ選手で外角低めのストレートをとらえると、打球はバックスクリーンへ一直線。劇的な逆転弾で福岡ソフトバンクが勝利し、勝負の行方は最終3戦目へ。
運命の3戦目は不運な失点も絡んで1対3と、オリックスにリードを許して最終3イニングを迎えた加賀谷選手。ここでも勝負強さを発揮して、7回裏に明石健志選手のタイムリーを放ち1点差に詰め寄る。すると8回裏には松田宣浩選手のソロで同点に。3対3で迎えた直後の9回表もきっちり抑え、引き分け以上が確定したことから、福岡ソフトバンクのSMBC e日本シリーズ進出が決定した。
2戦目、3戦目と逆転、同点のホームランを放ち、チームを救った福岡ソフトバンクのキャプテン・加賀谷颯太選手は「楽しい試合ができればいいと思っていました。もっとみんな頑張れよって言いましたけど(笑)、僕以外の全員が初めてのCSで固さもあって。彼らももっとできるプレイヤーなので、あのまま彼らを終わらせるのも嫌だと思っていました」と笑顔で語った。さらに加賀谷選手は試合をこう振り返る。
「相手の選手が厳しい顔して試合していたので、そこに付け入る隙があると思いました。1点勝負になったら絶対勝てると思って、メンタルを強く持って試合ができました。1戦目を見ると惨敗でしたが、山本投手のスタミナを減らせたことが良かったですね。山本投手はとても強力な投手なので、2戦目以降使えないとなるとこちらには追い風でした。
2戦目は平山選手が1点取ってくれたので楽に攻撃できました。満塁の場面ではもうゲッツーかホームラン。パワプロでアウトコース低めは打ちにくいところなんですが、僕にとってはずっと練習していて得意なコース。それが来たので良かったですね。3戦目の松田選手のホームランも向こうもホームランだけは、という場面だったのでアウトコースを狙っていました。思ったよりも打球が伸びて、入ってびっくりしました」
加賀谷選手は今季の“Best Proleague Player”。タイトルにも裏付けられ、言葉からも余裕がうかがえる。そのことをたずねると、王者らしい、堂々とした答えが帰ってきた。
「余裕はずっとありました。落ち着いて自分のシーズンを振り返ってみると、調子が良かったというよりこれが普通だと思って。1年目、2年目は器用貧乏って自虐していたんですけど、やめよう、全部がすごいってことにしようと決めました。調子が良かったと言うとまぐれだったみたいになってしまうし、シーズン良かったけど今日はどうかなって思った時点でだめになってしまう」
一方で、敗れたオリックスもファーストステージから計5試合を戦った中でも集中力を切らさず。すべての試合において先制点を挙げ、数多くのファインプレーで相手の得点の芽をつんだ。守備においては頻繁に守備位置を切り替え、それが見事に的中する場面も印象的だった。戦いを終えたキャプテン・指宿選手は長かった一日をこう振り返った。
「ファーストステージに関しては藤本選手がいい働きをしてくれて、自分もリードで次に渡せてと、いい流れで行けました。ファイナルステージでも強いホークス相手に戦い切りましたし、みんな100%の戦いだったと思います。守備シフトに関しては、今日は藤本選手がさえていたので全部決めてもらいました。そのおかげで相手チームの動揺を誘えて、精神面でも優位に立てました。誰が悪いというわけではないですが、何が足りなかったのかあとでしっかり見直したいです」
昨季、今季と2年連続でオリックスのキャプテンを務め、チームを2年連続の2位に導いた指宿選手。「昨季は『勝つことで引っ張る』ということで山本投手のような良いピッチャーを使わせてもらっていました。今季は実力がある選手がそろっていて、僕が負けた部分を補ってくれました。みんなを勝たせたいという気持ちでやってきて、全員勝ち越しで終われたのが良かったです」と満足感も示しつつ、「どうしたらいいんでしょうね」とあと一歩届かなかった夢の舞台へ苦笑いを浮かべた。
福岡ソフトバンク vs 横浜DeNAのSMBC e日本シリーズは3/6(土)15時〜
前日にはセ・リーグのeクライマックスシリーズが行われ、激闘の末に横浜DeNAベイスターズが勝ち上がった。両リーグ代表によるSMBC e日本シリーズは3月6日、15時より行われる。
加賀谷選手は「ベイスターズは4選手ともピッチングがうまくて、そこは12球団一かなと。なのでみんなで対策を練りながら、彼らを打ち崩せればと思います。勢いがすごいので、それにのまれないように冷静に戦いたいです。パ・リーグの他の5球団も素晴らしいチームがそろっていて、その中で勝ち取った日本シリーズへの出場権なので、5球団全員の気持ちを背負って全員で戦いたいと思います」とパ・リーグ代表として意気込みを語った。
もう一つのプロ野球「eBASEBALL プロリーグ」2020シーズンもいよいよ大詰め。12球団の頂点に立つのはどちらのチームになるのか、こちらも要注目だ。
取材・文 丹羽海凪
eBASEBALL関連記事
・2019年「SMBC e日本シリーズ」試合結果
・ホークス・平山選手インタビュー
・【プロ野球とeSports Vol.1】「eBASEBALL プロリーグ」誕生秘話
記事提供: