「テンポもキレも制球も良かった」石井一久監督も絶賛、楽天ドラ1早川隆久に残る課題は?

Full-Count

2021.2.21(日) 17:46

楽天・早川隆久※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
楽天・早川隆久※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

悠々と二盗を許す場面も「投げるタイミングがずっと一緒」

 楽天のドラフト1位ルーキー早川隆久投手(早大)が、20日の北海道日本ハムとの練習試合(沖縄・金武)で実戦初登板。2回を1安打無失点、3奪三振無四球の快投を演じた。1年目から開幕ローテ入りと2桁勝利を期待されている左腕が、実感した手応えと課題とは──。【宮脇 広久】

 先発の田中将大投手の後を受けて、3回からマウンドに上がった早川。先頭の中島卓也内野手に対し、初球のストレートは太田光捕手の構えとは逆の内角に来たが、ゾーンに決まり見逃しストライク。2球目は同じく真っすぐが外角に決まり、中島は手を出せなかった。

 早川が最も印象に残ったシーンに挙げたのが、続く3球目だった。「急にバットが出てきたのでびっくりしました」。外角へ投じたカットボールに対し、カウント0-2と追い込まれていた中島は咄嗟にバットを出し、三塁側へのファウルで逃げた。限界まで手元に引き寄せてコースを見極め、ここまで来たらもう見送るしかないだろうというタイミングでもバットを出す。“ファウル打ちの名人”とも言われれる中島の技術に触れた瞬間だった。

 続く4球目の外角への速球は、この日のMAX150キロを計測。結局中島には、カウント3-2から三塁線へ痛烈なライナーを飛ばされたが、三塁の茂木栄五郎内野手のダイビングキャッチに救われた。

 圧巻はなんといっても、この回2死走者なしでの中田翔内野手との対決。前の打席で田中将に1発を見舞っていた相手に、初球はインハイの速球で空振りを奪い、2球目は遅いカーブで見送りストライク。3球目はチェンジアップを空振りさせ、3球三振に仕留めた。

石井監督「ローテに入れていきたいと思わせる、それだけの資格を持つ投手」

「しっかり腕を振れていたので、ストレートは走っていました。変化球もチェンジアップの状態は大丈夫だと思いましたが、カットボールの精度をさらに上げていければ」とは降板後の早川の弁。捕手の太田も「真っすぐが強くて、相手打者の反応を見ても差し込めていた」とストレートには手応えを得た様子だ。「最速155キロ」の触れ込みに偽りはない。

 石井一久GM兼監督は「テンポも、真っすぐのキレも、変化球のコントロールも良かった」とした上で、「変化球のキレは今後、もう1つか2つ段階が上がるはず」と評した。小山伸一郎投手コーチは「欲を言えば、もう少し真っすぐが多くてもよかった。全体的に変化球が多かったので、もっともっと真っすぐで押して、どれくらい通用するのか試してほしかった」と配球に注文も。

 早川自身は「太田さんのサインは結構カーブが多くて、緩急をつけることが重要だったのかなと思います」とその意図を汲み取っていた。太田も「球自体はいい球を投げているので、あとは捕手の引き出し方次第というか、意思疎通をしっかりして、球種の使い方をバッテリーで考えていきたい」と語った通り、研究の余地はあるのだろう。

 また4回2死一塁では、一塁走者の野村佑希内野手に悠々と二盗を許し、太田は送球することもできなかった。小山投手コーチは「早川の投げるタイミングがずっと一緒だったので、相手に計られていた」と指摘。「こういう細かい部分は、試合をやっていかないとわからない。1個1個かみ砕いていってほしい」と語った。

 とはいえ、実戦登坂として結果も内容も上々だったことは確か。石井監督は「今後も投げていかせたい、(開幕先発)ローテに入れていきたいと思わせる、それだけの資格を持つ投手だと改めて思いました」と称賛。早川は「おごることなく、ここからもう1段階上げて、(公式戦では)練習試合とまた違ったボールを投げられればと思います」とキッパリ。自分の力量はまだまだこんなものではないと、言いたげにも見えた。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

記事提供:Full-Count

campaign

記事提供:

Full-Count

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE