「TFCC」は手首の小指側にある靭帯や軟骨からなる組織
楽天は2日、オコエ瑠偉外野手が2月中に「左手関節TFCC縫合術」を受ける予定であることを発表した。昨季プロ入り初の1軍出場なしに終わった23歳が受けることになる手術について、芝浦スポーツ整骨院・はり治療院の新盛淳司院長が解説してくれた。
TFCC(三角線維軟骨複合体)とは、手首の小指側にある靭帯や軟骨からなる組織です。クッションのように手首の衝撃吸収や力の伝達など、手首を安定させる役目があります。運動で手首の過剰なストレスにより小さい損傷を繰り返し痛みが出るケースが増えます。
小指側に手首を返すとTFCCが手首の骨と前腕部の小指側の骨、尺骨に挟まります。それで潰されるストレスがかかります。親指側の方面に負荷がかかった場合、伸ばされるストレスがかかります。
バットコントロールが必要な野球やテニス、バドミントン選手などに多いケガと考えられています。スポーツをされてなくても手首をよく使われる方も痛みに悩まれている方は多いとされています。
日常生活においては、ドアノブを回したり、ペットボトルを開けるなど手首を捻る動作で手首の小指側に痛みが出ます。
肘や肩、股関節などの硬さをかばうことで、手首に負担がかかるケースも
治療は最初は患部を安静にし、超音波など物理療法や、動作の改善などの運動療法を行います。2、3か月経っても改善が限定的な場合は、手術も検討されます。オコエ選手の場合は縫合術と球団から発表されたので、損傷した軟骨や靭帯などを縫合する手術を選択したということです。
術後は、手術した組織の修復をみながら、慎重に可動域や筋力回復のリハビリを進めます。今回の手術に至る過程では、手首だけでなく、肘や肩、股関節などの硬さをかばうことで、手首に負担がかかっていたケースも多く報告されています。オコエ選手の場合も、復帰までの間は、全身の他の箇所の弱点を補強する時間になると思います。復帰までには数か月かかる場合もあります。
手首の小指側の痛みは、痛みの原因を特定しにくい箇所です。TFCC損傷の他にも、腱鞘炎や神経炎なども痛みの原因になります。大切なことは痛みの原因を特定していくプロセスです。それには、手の怪我に熟知したドクターの診察が大変重要になります。MRIやCTなどの画像診断も重要ですが、最近では注射により痛みの原因を特定できるドクターもいます。手首の痛みで悩まれてる一般の方は専門医の受診をお勧めします。
オコエ選手につきましては、無事手術とリハビリを乗り越えて、1日も早くグラウンドで活躍する日がやってくることを祈っています。
新盛淳司(しんもり・じゅんじ)
新浦安しんもり整骨院入船院代表。柔道整復師、鍼灸師。元日本代表の中村俊輔(横浜FC)をセルティック時代から10年以上パーソナルトレーナーとして支えている。関東リーグ・ブリオベッカ浦安のチーフトレーナー。昨年、JR田町駅前にオープンした芝浦スポーツ整骨院・はり治療院の院長も務める。
(Full-Count編集部)
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