ヤンキースは大谷争奪戦に全力モードも“落選"
エンゼルスは27日(日本時間28日)から本拠地エンゼルスタジアムにヤンキースを迎え、今季初めて対戦する。ヤンキースは大谷翔平獲得に全力を注いだが最終面接に進めなかった“苦い歴史"を持つが、ニューヨークの地元紙「ニューヨーク・ポスト」電子版では、大谷を「逃したフリーク(鬼才)」と称して大特集を組んだ。
ヤンキースが大谷争奪戦で全力モードだったのは周知の事実。地元メディアは一時「大本命」と報じていたが、まさかの“落選"。その衝撃は大きく、大谷は大都市ニューヨークを恐れたに違いないと決めつけ「なんてチキンだ」と過剰反応するメディアも登場したほどだった。記事でも、この時の様子を「オオタニはヤンキースと面談すらせず、比較的地味なエンゼルスを選び、球界に衝撃を与えた」と振り返っている。
投打の二刀流として、海を渡ったその日から日米球界の注目を一身に浴びる大谷は、オープン戦こそ苦戦したものの、3月29日(同30日)のメジャーデビュー以来、強烈なインパクトを放ち続けている。
ここまで、打者としては11試合で打率.333、3本塁打、11打点と好成績を記録。投手としても防御率4.43ながら、すでに4試合に先発して2勝(1敗)をマーク。20回1/3を投げて26三振を奪いながら、与四球はわずか9つだ。
4月24日(同25日)の敵地アストロズ戦では、今季メジャー先発投手で最速の101マイル(約163キロ)を叩き出すなど、「フリーク=鬼才」と呼ぶにふさわしい能力を示している。
大谷がもたらしたチーム内の結束
元祖二刀流、そしてヤンキースの大スターだったベーブ・ルースと比較する声も後を絶たない。だが、かつてヤンキースGM補佐を務めたエンゼルスのビリー・エプラーGMは「自分は両者を比較をしたりはしない」という。さらに、エンゼルスの球団内、そして大谷を支えるスタッフの2か所では、ルースと大谷を比較する声は上がらないことも明かしている。
大谷の加入が、チーム内に思わぬ効果ももたらしているという。ナ・リーグは投手が打席に立つこともあるが、メジャーでは投手、野手と大きく2分され、練習も投手コーチ、打撃コーチを中心に、それぞれで進められることが多い。
だが、大谷は投打のどちらでも手を抜かない二刀流。エプラーGMによれば、投手コーチと打撃コーチが「今日は何球投げたんだ?」「今日は何回スイングをしたんだ?」など、互いに密なコミュニケーションを取るようになり、チーム内には以前と違った結束のようなものが生まれているそうだ。
投打のパフォーマンスだけではなく、さまざまな形でチームに影響を及ぼしている大谷。エンゼルスは25試合を終えて16勝9敗と大きく勝ち越しており、2014年以来となるプレーオフ進出に向けて上々のスタートを切った。
チームがこのまま快進撃を続けるには、大谷の活躍は欠かせない。果たして、名門を迎え撃つ3連戦で23歳二刀流はどんな輝きを放つのか。その輝き次第では、ヤンキースがさらに悔しさを募らせることになるかもしれない。
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