期待の21歳右腕はクローザーからセットアッパーへ
北海道日本ハムの日本人クローザー育成計画が第2段階に入っている。今季開幕からクローザーを務めていた石川直也投手が、24日のオリックス戦から8回を担当するセットアッパーに配置転換。その背景には、近い将来に絶対的守護神となるためにいろいろな経験をさせるという首脳陣の狙いがあった。
プロ4年目のシーズンを念願のクローザーとして迎えた21歳右腕が、栗山英樹監督から配置転換を告げられたのは、24日の練習が始まる前だった。そこまで9試合に登板して失敗も成功もあり、0勝1敗1ホールド、5セーブ、防御率6.75の成績だった。
「監督からは『いろいろな経験をしてほしい』と言われました。自分でも8回は難しいと思っているので、いい経験ができたらと思っています。もちろん最終的には9回をやりたいので、戻れるように結果を残したいです」
前向きに受け止めた石川直は24日オリックス戦で2点リードの8回に登板し、1四球を与えたものの打者3人で無失点に抑えた。26日オリックスでも1点リードの8回2死走者なしから登板。マレーロに左翼線二塁打を許した後、ロメロを一邪飛に打ち取り、2試合続けてセットアッパーの仕事を果たした。
セットアッパーと言っても、かかるプレッシャーはクローザーと変わらない。26日の試合のようにイニングの途中から行くこともある。「9回は9回に合わせればいいですが、8回はランナーがいる場面というのも出てくると思います。状況によっては急いでつくる場面もあるかもしれない。8回の方が難しさがありますが、宮(西)さんが言うように、いい状態で点をやらずに最後に回したいです」と力を込める。
北海道移転後、5度のリーグ優勝は「投手力」がカギ
04年の北海道移転後、5度リーグ優勝を果たした北海道日本ハムの原動力は安定した投手力にあった。特にリリーフは生命線。マイケル、武田久、増井浩俊と絶対的なクローザーが僅差のゲームを締めてきた。
増井とセットアッパーだったマーティンが抜け、リリーフ陣の再構築が求められる今季、首脳陣は191センチの長身から投げ下ろす150キロ超の直球と鋭いフォークを武器にする石川直を、将来のクローザーとして育成することを決めている。
「エースとクローザーは日本人がいいと思っています。(今回の配置転換は)監督の要望で、ゆくゆくはクローザーになってほしいけれど、今はチームが勝ちやすい形で勝ちながら成長を促そうということ。まだ1年間クローザーを務める体力がないので、投げるところを変えながら1年間怪我なくやってもらうということは開幕時から考えていたことです」と吉井理人投手コーチが説明する通り、育成プランに則った配置転換だった。
栗山監督も「8回は逆に非常に難しいイニングなので、背負わせるものが大きくなってしまうかもしれない」と言いながらも、「いろんなことを経験しながら確実に前に進んでほしい」と期待を寄せる。
石川直の代わりにクローザーを任された新外国人のトンキンはすでに4セーブを挙げ、機能している。チームは4連勝で貯金4を蓄え、首位の埼玉西武と3.5ゲーム差の2位。勝利と育成の両輪がうまく回り始めている。
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