島内が「横から見ても後ろからみてもきれい」と憧れるスイングには陰りなし
プロ16年目で2月に33歳となる楽天・銀次内野手。岩手県出身で、東日本大震災発生当時から楽天でずっと現役を続けている数少ない選手の1人とあって、震災からちょうど10年の今年は、否応なく注目される。13日には宮城県内で行った自主トレ終了後、「東北出身者として自分が先頭に立ってやっていきたい」と節目の年に臨む決意を示した。
3年契約の1年目だった昨季は、88試合出場にとどまり、打率.236、0本塁打、23打点の不振。抜群のバットコントロールを誇り、ベストナインに2度(三塁手1度、一塁手1度)、ゴールデングラブ賞に1度(一塁手)輝いているベテランが、ベンチを温めるケースが増えた。今年はレギュラー奪回を目指すが、その前に「年齢」の壁が立ちふさがる。
2月24日で33歳になる。「年を取ると、目から衰えてくる。目慣らしというか、自分なりにボールを見る訓練をやっています」と危機感をにじませ、具体的には「バッティング練習で打席に立つ時も、ボールを目だけで追う。体や首を動かさずに、目だけで追うようにしています」と明かした。
確かにプロ野球界では「バッターの衰えは動体視力の低下から始まる」とよく言われる。ここ数年一緒に自主トレを行っている同僚の島内が「銀次さんは、横から見ても後ろから見てもスイングがきれい。自分もああいう打撃をしていけたら」と評するように、銀次の打撃フォーム自体に変化はうかがえないが、本人は忍び寄る衰えを敏感に感じ取っているのかもしれない。
毎年1月は沖縄で自主トレを行うのが恒例となっていたが、新型コロナウイルスの感染拡大をうけて宮城県内に変更。「周囲の方々の協力のおかげで、運動量は例年と変わらず、不便なことも全くない」と言うが、普段とは違う調整を強いられている。「気温が違うので、一気に強度を上げていくのではなく、体を温めながら少しずつ動かしていこうと気をつけています」と語る。
「まだまだ苦労されている人がいっぱいいるので、ほんのちょっとでも元気にできたら」と東日本大震災の被災者への思いを吐露した銀次。東北のファンのためにも、チームのためにも、自分が最前線に生き残るためにも、正念場のシーズンになりそうだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
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