ホークス退団の内川聖一は争奪戦か? 元NPB監督が「需要が多い」と語る理由

Full-Count 橋本健吾

2020.11.17(火) 18:39

福岡ソフトバンクを退団する内川聖一※写真提供:Full-Count
福岡ソフトバンクを退団する内川聖一※写真提供:Full-Count

「“有名”な打者じゃなく“本物”の打者。有名になるのは簡単だが本物になるのは難しい」

 プロ野球はパ・リーグのクライマックスシリーズを終え、残すは福岡ソフトバンクと巨人の日本シリーズのみとなった。各球団は来季に向けた戦力補強に動き出す時期にも入っている。FA、新助っ人などもあるが、阪神の福留孝介外野手、能見篤史投手、福岡ソフトバンクの内川聖一内野手ら今年は実績のあるベテラン選手の去就にも注目が集まっている。

 3年ぶりに優勝した福岡ソフトバンクの内川は1軍で出場機会がなく現役続行を希望し自ら退団を申し出た。両リーグで首位打者を獲得した球界を代表する打者は再び1軍の舞台で復活した姿を見せることができるのか…。元オリックス監督で、福岡ソフトバンク、巨人、中日でもコーチを務めた野球評論家の森脇浩司氏は「DH、代打だけでなくファーストでもまだまだ使える。両リーグで需要が大きい」と太鼓判を押す。

 森脇氏はホークス、オリックス、中日では内川に嫌という程、勝負強い打撃を見せつけられた。来年は39歳を迎えるが、広角に打ち分ける打撃技術はまだまだ健在だという。

「内川は“有名”な打者じゃなく“本物”の打者。有名になるのは簡単だが本物になるのは難しい。まだまだ通用する。年齢がいくと昔から言われているストレートの対応が難しくなる。目であったり反射神経という部分。2軍での打撃を見ていてもまだまだ早い球にも反応できる。それがアドバンテージになり右にコンタクトできるし、変化球への対応もできている」

「ベテラン、中心選手になると存在感、存在意義を問われる」

 内川は代打、スタメン共にどちらでも力を発揮するタイプと指摘し「年間で代打、スタメンで使えばそれなりの数字を残していく。まず一番大事なのは数字を残せる選手であるかどうか。そして、ベテラン、中心選手になると存在感、存在意義を問われる。常勝チームの中心選手として長く10年間、しっかり君臨してきた。周りに与える影響、良い影響を与える存在価値である選手。需要は多い」と、他球団にとっては大きな戦力になることを断言した。

 この時期になれば大物、ベテランの去就には様々な憶測が飛び交う。チームを去ることになってから突如して出てくる否定的な話に森脇氏は首をかしげる。

「プロ野球は需要と供給の世界。受け皿がないと勿論プレーできないが、人がどうこうの問題ではなく自分自身の信念が一番。去り際には余力を残して終わる人もいれば、ボロボロになるまでやる人もいる。賛否両論あるが自分の人生。全ての選手には悔いのない野球人生を送って欲しいと思っている」

 内川以外にも福留、能見らが現役続行に向け新たなステージへと歩を進めた。実績十分のベテランたちは来季もユニホーム姿をファンにみせることができるだろうか。

◇森脇浩司(もりわき・ひろし)

1960年8月6日、兵庫・西脇市出身。現役時代は近鉄、広島、南海でプレー。福岡ダイエー、福岡ソフトバンクでコーチや2軍監督を歴任し、06年には胃がんの手術を受けた王監督の代行を務めた。オリックスでは13年から監督を務めるなど、中日、巨人でも名コーチとして多くの選手を育てた。球界でも有数の読書家として知られる。現在は福岡6大学野球の福岡工大の特別コーチを務め、野球以外にも心理カウンセラーの資格を取得。監督通算成績は470試合239勝217敗14分け、勝率.524。(福岡ソフトバンク、オリックス監督代行を含む)

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

記事提供:Full-Count

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