「ここ数年はあまりない」鷹一筋17年目・明石が語る3年ぶりリーグVへの“手応え”

Full-Count 藤浦一都

2020.10.19(月) 15:30

練習中に工藤監督から声をかけられる明石健志※写真提供:Full-Count(写真:藤浦一都)
練習中に工藤監督から声をかけられる明石健志※写真提供:Full-Count(写真:藤浦一都)

チームメートはベンチ前に総出で祝福

■福岡ソフトバンク 11-4 楽天(18日・PayPayドーム)

 プロ17年目のベテラン、福岡ソフトバンクの明石健志内野手の一振りがチームを8連勝に導いた。楽天戦の8回裏、1死二塁の場面で代打として登場した明石は、フルカウントから右中間への勝ち越しタイムリー二塁打。一挙7得点というビッグイニングの火付け役となり、若手が躍動するチームの中でベテランらしい存在感を示した。

 4-4の同点で迎えた8回裏。先頭の松田宣浩が四球を選んで出塁し、代走は牧原大成。続く甲斐拓也が1球で犠打を決めて勝ち越しのチャンスメークをすると、工藤公康監督が代打・明石を告げた。

 マウンド上には同じくベテランの牧田和久。明石はフルカウントからの6球目、やや高めにきたスライダーを叩くと、打球は右中間のフェンス前で跳ねる二塁打となった。牧原が悠々とホームインすると、福岡ソフトバンクのベンチ前で選手たちが喜びを爆発させて二塁ベース上のヒーローに祝福を送った。

 印象的だったのは代打を送られた川瀬晃だ。ヘルメットを片手に、まるで「代わりに打ってくださってありがとうございます」と言わんばかりに明石に向かって深々と頭を下げていた。

 右手首の関節炎のために9月7日に登録抹消となり、1軍に戻ってきたのは9月29日。安打は9月5日の千葉ロッテ戦以来だ。

「久々のヒットなんでね。うまく高めに来たので、いい所に飛んでくれました。ラッキーでした」。試合後、明石はやや控えめに殊勲の一打を振り返った。

 1軍復帰後は11打数無安打だったが「打てないから何かを変えなきゃいけないということもない。結果でないと何でも打ちたがるので、それを我慢することですね。いつか甘いボールは来るし、いつかヒットは出る。いいきっかけになるかどうかはわからないけど、それをじっくりと待ちました」と“我慢が生んだ一打”であること明かした。

 調整を続けてきたファームでも「(右手首は)痛いけど、どうやって打とうか」と工夫をしながら打撃練習に励んだ。その間、焦りよりも「はよ治れよ」としか考えていなかったと明石。これまでも故障に苦しんできた経験から「自分にやれることをやるだけ。(1軍昇格は)自分で選べない。(1軍に)呼ばれたらやる。呼ばれなくてもやる。それは同じですよ」と語った。

優勝経験豊富なベテランから見た“チームのいま”

 これまでに優勝争いを数多く経験してきた明石は、2位に5.5ゲーム差をつけて首位を走るチームの雰囲気をどう見るのか。

「いいんじゃないですか。ここ数年はあまりないんじゃないですか。(シーズンの)最後の方は負け越す方が多かったので、これまでとは違った終盤戦かなと思います。前までは負けて『やばい、やばい』って言いながらゲーム差がなくなってきて、という感じでしたからね。9月に負け越すことも多かったですし。今は大型連勝もできているので、それはでかいと思います」

 優勝争いを展開するチームからは「相手のことは気にせずに」という言葉が聞かれることが多いが、明石は「気にするなと言われても絶対に気にするんで」と笑いながら本音を明かす。「でも、チームが勝っていればゲーム差は縮まらない。まずはやれることをやって、それで負けたら仕方ない」と、目の前の一戦に全力を尽くすことだけを考える。

 明石の殊勲打をベンチ前で総出になって祝福する光景からもチームのいい雰囲気は伝わってくる。工藤監督は「明石君の一打がイケイケのムードを作ってくれた」と称えたが、その工藤監督は試合前の練習時に多くの選手に声をかけている。若手はもちろんのこと、ベテランにも自分から近づいて行って、その日の調子を確かめる。この日もケージ横でフリー打撃に備える明石の背中を叩きながら話しかける姿が見られた。このような何気ないコミュニケーションも、チームのいい雰囲気を作り出す要因になっているようだ。

(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)

記事提供:Full-Count

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