大谷を6年間追い続けた男が明かす評価「彼には唯一無二の才能がある」
エンゼルスの大谷翔平投手が先発予定だった15日(日本時間16日)の敵地ロイヤルズ戦は、天候不良のため中止となった。カンザスシティのカウフマン・スタジアムはつららができるほどの厳しい寒さで、風も強かったため、開始直前に中止が発表された。
大谷は17日(同18日)の本拠地レッドソックス戦にスライド登板する予定。メジャー有数の名門球団レッドソックスは、"大谷獲り"に尽力していた球団の1つだ。
地元紙「ボストン・ヘラルド」は、特集記事で争奪戦の“裏話"を紹介。レッドソックスがいかに大谷を高く評価していたかを明らかにしている。
大谷はここまで2試合に先発して2勝無敗、防御率2.08、計13イニングで18奪三振をマーク。相手はいずれもアスレチックスだった。投手としてメジャー2球団目の対戦相手は、3勝10敗で中地区最下位のロイヤルズから、13勝2敗で東地区トップの強豪レッドソックスに“変更"に。相手先発はメジャーを代表する左腕のデビッド・プライスの予定となっている。
「ボストン・ヘラルド」では、レッドソックスが大谷獲得を切望していた球団の1つであると紹介。100年前に「野球の神様」ベーブ・ルースが13勝&11本塁打と二刀流で活躍した球団でもある。
記事には、日本時代の大谷のスカウトを6年間担当したというアラード・ベアード編成担当副社長が登場し、「総意として彼は価値ある選手だという認識をもっていた。開幕からローテーションを任せられ、シーズンの終わりにはエースとなり得る存在だと」「彼がエース級となり得る投手であることは感じていた」と、投手としての評価が高かったことを明かしている。
他球団のスカウトが今後の活躍に太鼓判「オオタニは非常に賢明な選手」
特集によると、ベアード氏は大谷が高校生の時点で、これまでに目にしたことがない才能の持ち主であると確信。花巻東高時代のビデオを見てから、球団の指令を受けて2017年までに11度日本を訪れ、直接視察したという。
「打者としては気に入ってはいたものの、インパクトを発揮するまでは少し時間が必要だと思っていた」と、現在メジャーを席巻している打撃面については投手よりは評価がやや低かったようだが、その身体能力の高さには脱帽していたようだ。
「とても、とても感銘的だった。身体的には若いときのマーク・グビザのようだった。グビザが今エンゼルスの仕事(地元テレビ解説者)をしているのは皮肉だね。背が高く、ひょろっと手足が長い、それでいてアスリートだった」
「彼は他とは違う存在だった。身体への意識が備わっていて、アスリートととしての素質があった。走塁にしてもバントにしてもスイングにしても、そういう意味で目立っていた」
まさに“ベタ惚れ"だったようだ。結果的に、書類審査後に7球団が選ばれた大谷本人との最終面談にレッドソックスは進めなかった。
ただ、念入りに調査していただけに大谷の能力には最大級の評価を与えており、強化責任者のデーブ・ドンブロウスキー氏も記事の中で「彼ほど二刀流としての実力を秘めた選手を他には知りえない」「異なる2つのことにフォーカスすることになるから本当に難しい。それができる才能を秘めた選手は限られている」と絶賛している。
また、ベアード氏は現在のメジャーでの活躍はまさに自分が日本で見てきたものと同じだと感じているといい、「MLBの試合でそれをやってのけるのは本当に本当に困難なことなんだ。彼には唯一無二の才能がある」とあらためて称賛。
他球団の研究が進んだとしても「オオタニは非常に賢明な選手なのですぐに対策をとってくるかもしれない。彼は適応できる選手なんだ」という。他球団のスカウトが、地元メディアの取材に対して更なる活躍に太鼓判を押しているのだ。
北海道日本ハム時代にメジャーのスカウトたちを魅了していた大谷は、米国に舞台を移し、対戦相手が変わっても、その圧倒的な能力を見せつけている。
好調のレッドソックス相手にどれだけのピッチングを見せるのか。温暖なアナハイムでプライスと壮絶な投げ合いを演じることになるのか。期待は高まるばかりだ。
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