苦しいホークス投手事情 驚きの“一人一殺”継投に隠された不安

Full-Count 福谷佑介

2018.4.13(金) 12:26

ソフトバンク・工藤監督
ソフトバンク・工藤監督

12日北海道日本ハム戦の8回、嘉弥真→加治屋→モイネロとつなぐ

驚いた。12日、ヤフオクドームで行われた北海道日本ハム戦。終盤、福岡ソフトバンクの工藤公康監督が繰り出した継投策だ。

3点リードで迎えた8回だ。7回まで無失点と好投していた石川柊太からリリーフ陣へとバトンを繋ぎ、逃げ切りを図るところ。残りのイニングを考えれば、8回をモイネロに任せ、9回は守護神サファテと繋ぐかと思いきや、指揮官は違う策を打って出た。

北海道日本ハム打線の巡りは、左の中島卓也、右の大田泰示、左の西川遥輝。まず中島卓に対し、工藤監督は左キラーの嘉弥真新也を送り込んだ。嘉弥真が中島卓を空振り三振に斬ると、すぐさま加治屋蓮へとスイッチ。右腕も狙い通りに大田を見逃し三振に斬った。
すると、工藤監督はまたしても投手交代を球審に告げた。今度は左のモイネロへ。キューバ人左腕は近藤を一ゴロに。8回を“一人一殺”の小刻みなリレーで凌ぎ、最後の9回は“キング・オブ・クローザー”サファテが締めた。

試合後、工藤監督はこのリレーについて問われると、まず「すいません」と口にした。続けて「本当は、左右もあって、嘉弥真1人かモイネロ1人でいってもらうところだけど、確実に取りたいというか、リリーフ陣の連投も続いていたし、できるだけ少ない球数で乗り切りたいと思っていた」と説明した。何としても勝利するためにゼロに抑える可能性の高い策を探りつつ、リリーフ陣の負担を分散させるために考えたプラン。一戦に賭ける思いも透けて見えた。

岩嵜の離脱でさらに増す救援陣への負担

一戦必勝のスタイルは昨季も同様だが、やはり気になるのはリリーフにかかる負担の大きさだ。これも昨季と同様だが、今季11試合を終えて、モイネロ、加治屋が6試合、森、嘉弥真、そしてサファテが5試合に登板している。石川を含めて6人が5試合超に投げているが、これはパ・リーグで最多。首位の埼玉西武で5試合以上に投げているのは増田、平井、武隈、野田の4人だ。ホークスは岩嵜翔が右肘の手術のため約3か月離脱することになった。その不在は大きく、昨季以上にこの面々にかかる負担は増すだろう。

11日の北海道日本ハム戦では6回終了時点で5点のリードがありながらも、7回から嘉弥真新也、加治屋蓮と送り込み、8回には森唯斗を登板。この森が横尾に2ランを浴びたことで、モイネロ、そしてサファテまで注ぎ込まなければならなくなった。6回の時点で5点リードであれば、田中正義や高橋礼といった若手投手陣へのチャンスを与えてもよかったかもしれない。彼らがつかまれば、仕方がない。あるいは、ひっくり返される前に、勝ちパターンの選手たちを送り込んでもよかったかもしれない。
 
岩嵜の故障は、昨季チーム最多の72試合に投げたことと無関係ではないはず。今季は例年以上に台所事情の苦しさを感じさせる福岡ソフトバンク。まだ11試合を消化したばかり。貯金生活に入っても、一抹の不安が拭えない。

記事提供:Full-Count

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