【勝利の分かれ目の一打席】玉井大翔の冴え渡る変化球が、チームに今季初勝利をもたらした

中島大輔

2020.6.20(土) 17:43

北海道日本ハムファイターズ・玉井大翔投手【撮影:海老原悠】
北海道日本ハムファイターズ・玉井大翔投手【撮影:海老原悠】

 前日に接戦を落とした北海道日本ハムが、投打に“らしい”かたちを見せて今季初勝利を飾った。

 勝敗の分岐点となったのは2対1でリードして迎えた5回表、栗山英樹監督の決断だった。先発の加藤貴之は4回まで80球を投げて被安打5、1失点。3回から高めに甘く入るボールが目立ってきたとはいえ、あと1イニング投げれば勝ち星のつく場面のなか、指揮官は迷いなく継投に入った。

 マウンドに送ったのは、昨季チーム最多の65試合に登板した鉄腕右腕の玉井大翔だ。技巧派左腕の加藤の後を継いだ玉井は球威のある速球とフォーク、カットボールやシュートなど多彩な持ち球をうまく活かしてライオンズ打線に真っ向勝負を挑んでいく。

 前日の開幕戦から卓越した選球眼を見せる3番・森友哉に対し、2ボール、 2ストライクからの7球目、外角低めいっぱいに145km/hストレートを投げ込んで見逃し三振。前年の首位打者が手を出せないほど完璧なボールだった。

 4番・山川穂高には外角のカットボールを振らせてカウントを稼ぎ、最後は内角への143km/hストレートでサードゴロに打ち取る。続く外崎修汰には全4球のうち3球が内角へのシュートで、2者続けてサードゴロに仕留めた。強いフォーシームと打者の手元で動くボールをうまく織り交ぜ、埼玉西武の強力クリーンアップに対して圧巻の投球を見せた。

(C)PLM
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 試合中盤の勝負どころで流れを引き寄せた玉井はイニングまたぎの6回も無失点に抑え、今季初登板で初勝利。日本ハムは公文克彦、宮西尚生、秋吉亮とつなぎ、最少リードを守り切った。

 投のヒーローが玉井なら、打の殊勲者は4番の中田翔だった。1点を追いかける4回表、西川遥輝の通算1000本安打目となるライト前安打、近藤健介の四球で1死1、2塁のチャンスをつくると、中田がライトフェンス直撃の勝ち越し2点タイムリー。西武の先発・松本航が投じた143km/hストレートが真ん中に甘く入ったところを見逃さず、うまく自分のポイントまで呼び込み逆方向に強く弾き返した。中田は前日から打撃の内容が良く、今季は大いに期待できそうだ。

 一方の西武は、先発の松本が力強い速球を中心に7回途中2失点と好投したものの、中田への1球に泣いた。「長打で失点はしてしまいましたが、出来自体は良かったですし、自分の力は出せたのではないかと思います。ただ、フォアボールが多かったのが反省点です」と、5つの与四球を悔やんだ。

 打線は1点を追いかける7回に1死2塁のチャンスをつくったが、森、山川が凡退。外崎が2回に放った先制本塁打による1点に終わり、前日に続く連勝とはならなかった。


文・中島大輔

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