価値ある2本のヒットが、勝利を手繰り寄せた。北海道日本ハムが大谷選手の4打数3安打1打点の活躍などで楽天にサヨナラ勝利。2位の福岡ソフトバンクが埼玉西武に敗戦したことで、優勝マジックが「3」に減り、最短で27日の埼玉西武戦でのリーグ優勝が見えてきた。
延長11回2死、3塁走者の大谷選手は相手の暴投に、迷いなくホームへかえってきた。「うれしくて、無我夢中で走りました」。ベンチを飛び出したナインと、手洗い祝福を受けた大谷選手の表情が、この1勝の大きさを物語った。「これなら何回受けてもうれしいです」。マジックが一気に2つ減り、いよいよ優勝を視界にとらえた。
追い掛ける展開で終盤に追い付き、最後は勝つというまさに強いチームのゲーム内容。その主役は大谷選手だった。8回2死3塁、3番手のミコライオ投手の初球を中前へはじき返した。打った瞬間に安打を確信し右こぶしを振り上げた。「西川選手とかに、特徴を教えてもらって、初球から狙っていこうと思った」という、“作戦通り"の一撃。相手の勝利の方程式の一角を打ち崩し、試合を振り出しに戻した。
そして延長11回、今度は福山投手から中越えに二塁打。「まずチャンスを作ること」。鋭い当たりは中堅・島内選手の頭上を越え、ガッツポーズをしながら2塁へスライディングした。
相手のミスで試合は決まったが、本拠地の雰囲気が生んだ結果なのかもしれない。この日は4万1138人が札幌ドームに詰めかけ、北海道移転後初めて、観客動員200万人を突破した。「ずっと目標にしてきた」と大谷選手も“大台突破"に、お立ち台で満面の笑み。リーグ中盤以降、15連勝を記録するなど好調を続け、独走していた福岡ソフトバンクを捉え、ついに逆転。その快進撃を後押ししたのは、まぎれもなく北海道の熱いファンによるものと言えるだろう。
リーグ優勝へ大きく近付く勝利。早ければ2日後の27日、敵地での埼玉西武戦で4年ぶりのVが実現する。この日は打撃で貢献した男だが、中5日で先発投手としてマウンドに上がる可能性もある。残り4試合「僕らは勝つだけ。一戦必勝。全員野球で頑張りたい」と締めくくると、満員の札幌ドームから大歓声を受けた。
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