【試合戦評】ファンから愛され、ファンを愛した「背番号3」。サブロー選手、最後の勇姿

パ・リーグ インサイト

2016.9.25(日) 00:00

現役生活22年。今日は試合前から千葉ロッテの背番号「3」の引退試合を見届けようと、多くのファンが球場に詰めかけ、球場に入りきれないファンのためのパブリックビューイングも球場前で行われるほどの盛り上がり。4番・指名打者としてスタメン出場を迎えた千葉ロッテ・サブロー選手の引退試合は、これぞ「ホーム・QVCマリン」というムードの中で行われた。

千葉ロッテの先発は、かつてサブロー選手から叱咤を受けたという唐川投手。成長した姿を見せたいところだったが、初回に中島選手のタイムリーを許し、オリックスが1点を先制する。

迎えた2回裏、登場曲「栄光の架橋」と、場内アナウンス担当・谷保氏によるいつもより少し長い「サブロー」コール、そして万雷の拍手と大歓声に包まれ、サブロー選手が打席へ。「つなぎの4番」という言葉を生み出したシュアなバッティングではなく、この打席では力の限りのフルスイングを繰り返す。結果は空振り三振となるが、スタンドからは大歓声が上がる。

立ち直った唐川投手が3回、4回といずれも2死から安打を許しながらも無失点に封じ、4回裏に1死1塁の場面で再びサブロー選手が打席へ。この打席もフルスイングで臨み、空振り三振に倒れる。

5回表、オリックスは再び唐川投手から走者を出すと、吉田正選手の左中間への適時打で一気に糸井選手が生還。貴重な追加点を奪い、点差を2点に広げる。

試合がこう着状態となる中で迎えた6回裏、サブロー選手の第3打席。ライトスタンドから大声量のサブローコールが鳴り響く中、またもサブロー選手はフルスイングで臨むも、打球は前に飛ばす空振り三振。なかなか、自身通算1363本目のヒットは生まれない。

9回表、千葉ロッテは指名打者を解除して、サブロー選手がレフトへ。さらに1死を奪うと、今度はライトへ守備位置を移す。すでに止められない涙を必死にぬぐいながら、サブロー選手はライトスタンドの声援を背にする。結局打球は飛んでこなかったが、最後はスタンドからの地鳴りのような声援に応えながら、ライトを後にする。

そして9回裏、現役最後の打席へ。何度も飛ばしてきた右中間へ鋭い打球を飛ばし、今季初安打、そして通算1363本目の安打。涙を浮かべ、ベンチから出てきたチームメートに迎えられながら、ベンチへ戻っていった。その後チームは反撃及ばず、敗れたもののQVCマリンに集ったファンはその背番号3の勇姿を目に焼き付けた。

チームを2度の日本一に導いた「つなぎの4番」。そしてファンに愛された「背番号3」は、何度も勇気づけられ、励まされたというホーム・QVCマリンのファンが生み出す大声援に包まれながら、静かにバットを置いた。

記事提供:

パ・リーグ インサイト

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE