埼玉西武松坂はキャンプ3日目に初のブルペン入り、16球を投げた
14年ぶりに埼玉西武に復帰した松坂大輔投手が3日、宮崎・南郷キャンプ3日目に初めてグラウンドで新しいユニホーム姿を披露。さらに初のブルペンにも入り捕手を立たせたまま16球を投じた。
14年前のチームメートは大半が現役を退き、現在の埼玉西武投手陣には過去に松坂とプレーした経験のある選手が皆無。若手投手たちにとっては、日米を通じてのレジェンドに話しかけるのはなかなか敷居が高いようだが、松坂が動き始めたことで徐々に解消されていきそうだ。
この日の練習中、積極的に松坂に話しかけていたのが、助っ人ザック・ニール。来日2年目で、昨季は11連勝を含む12勝1敗と大活躍した右腕だ。通訳なしで会話する場面もあった。
「何を聞いていたかって? 彼がどこに住んでいるのかとか、チームメートとして簡単な質問ばかりだよ。てっきり日本のどこかに住んでいると思っていたら、今も自宅はボストンと聞いて驚いたよ」
松坂は07年からレッドソックスでプレー。同年のワールドシリーズ制覇に貢献し、MLB通算8年間で56勝を挙げた。ニールは「彼はレジェンド。彼のそばにいられるなんて、ものすごいことだよ」と興奮気味。というのも、「松坂が米国にやって来た2007年は、僕が高校を卒業してカレッジに入学した年(米国は9月入学)だが、“ジャイロボール”が話題になったことをよく覚えている」からだ。
当時、米メディアは、松坂が常識を超えた変化をする“ジャイロ・ボール”の使い手であると報じ、存在の真偽をめぐって、米メディアでも論争を巻き起こした。戸惑っていた松坂も投手にとって、存在しない球種を“ある”と思われる分には試合で有利に働くから、あえて明確に肯定も否定もしなかったが、ニールにとっては“魔球”の使い手として脳裏に焼き付いているようだ。「これからはもっと野球のことについて詳しく聞いていきたい。投球スタイルは違うが、彼がどんな心理、考え方でマウンドに上がり、打者に対してどう攻めるかを知りたい」と目を輝かせた。
一方、日本人はなかなかニールのようにフランクに、とはいかない。プロ5年目の26歳で昨季6勝の本田圭佑投手は「小学生の頃、使っていたグラブは“松坂モデル”でした」と熱い思いを秘めるものの、「残念ながら、まだあいさつ程度しかできていません。僕も息の長い選手になりたいので、どうしたら40歳まで現役でいられるのかを聞いてみたいんですが……」という。
それでも松坂の方は連日、若い同僚投手たちの投球に目をこらしている。この日も自分の投球練習、ランニングを終えた後、ブルペン内にパイプ椅子を持ち出して座り、今井達也投手と本田のピッチングを見つめる姿があった。「単純に他人が投げるボールを見るのが好き」と照れるが、「聞かれれば、答えます」とも。アドバイスする準備は着々と進んでいる、といったところだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
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