エースが導いた、大きな大きな1勝だ。北海道日本ハムが先発・大谷選手の8回1失点の好投で福岡ソフトバンクに勝利。天王山の2連戦、初戦に勝利し首位に返り咲いた。22日、福岡ソフトバンクとの最終戦に勝てば、優勝マジックが点灯する。
「投手戦になる。最少失点でいこうと思いました」。今季の優勝争いを大きく左右するであろう大一番。二刀流として覚醒した2016年シーズンを象徴するように、スコアボードに「8番・投手」として大谷選手の名前が灯った。「打席は気にしてなかった。どうやって抑えようかと思っていた」。160キロを超える直球と150キロに迫る変化球で、ホークス打線に立ちはだかった。
1点差とされ、なお5回1死1,2塁という大ピンチ。中軸の中村晃選手、内川選手を相手にギアを変えた。その直前、無死1塁で細川選手のバント処理を失敗し、悪送球。「僕のミスで点が入ってしまった。同点にはさせないと頑張りました」。中村晃選手を二ゴロ、内川選手を遊ゴロ。結局、松田選手を含めたクリーンアップに対し、11打数無安打と抑えたことが大きかった。
各選手の気迫が随所に見えた。2回1死1塁で38号2ランを放ったレアード選手。打たれたものの6回2失点と試合を作った千賀投手。そして最終回、2死2,3塁で江川選手。はじき返した打球は大きく舞い上がり、浅く守っていた北海道日本ハムの守備陣の後ろを越えるかに見えた。抜ければサヨナラ間違いなしといった当たりだったが、中堅の陽選手が間一髪追い付くファインプレー。飛び上がって喜ぶ大谷選手のガッツポーズと同時に、試合終了が告げられた。
死闘を勝ち抜いた北海道日本ハムが残り8試合で首位に再浮上。「自分の出せるものをあそこに置いて来ようと思った」という魂のこもった投球を見せた大谷選手の果たした役割は大きい。6回2死1塁では左翼へ二塁打を放ち、二刀流としても結果を残した。
「この勝利は大きいですし、明日、ファンの皆さんと一緒に勝ちにいきたいと思います」とヒーローインタビューで笑顔を見せると、ヤフオクドームに駆け付けた北海道日本ハムファンから大歓声を受けた。
大仕事を果たしつつ、視線はすでに22日を見据えていた。「打席に立って、またここに戻って来られるようにしたい」と自らフル回転を約束。二刀流の翌日、疲労度は計り知れない。だが涼し気に意欲を示したその姿はまさに「怪物」だった。
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