鷹の周東や釜元、広島の野間らは高い成功率を誇る
今季の盗塁王はパ・リーグが埼玉西武の金子侑司外野手、セ・リーグは阪神の近本光司外野手が獲得した。だが、セイバーメトリクスの世界では「盗塁」をあまり評価していない。
セイバーメトリクスでの盗塁の評価が低いのは、失敗した時のダメージが大きいからだ。盗塁を失敗すると走者がいなくなる上にアウトが1つ増える。一瞬にして、得点のチャンスが二重に減ることになるのだ。
もちろん、成功すれば得点のチャンスは大きくなるが、盗塁は「成功率が高い選手だけが行うべき」という考えがある。盗塁成功率で見ると、盗塁の評価は大きく変わってくる。2019年のシーズンで、盗塁企図数が10以上の選手の盗塁成功率を見ていこう。
○パ・リーグ
1岡大海(ロ).929(13盗塁1盗塁死)
2釜元豪(ソ).917(11盗塁1盗塁死)
3周東佑京(ソ).833(25盗塁5盗塁死)
4安達了一(オ).833(10盗塁2盗塁死)
5金子侑司(西).804(41盗塁10盗塁死)
6辰己涼介(楽).800(12盗塁3盗塁死)
7佐野皓大(オ).800(12盗塁3盗塁死)
8西川遥輝(日).792(19盗塁5盗塁死)
9外崎修汰(西).786(22盗塁6盗塁死)
10源田壮亮(西).769(30盗塁9盗塁死)
盗塁成功率は8割を超えれば優秀とされる。1位のロッテ岡は企図数14で失敗はわずかに1。貢献度は高いといえよう。ソフトバンクの周東は足のスペシャリストとして今季一躍脚光を浴び、.833と成功率も優秀だった。
近本は33盗塁をマークするも、14の失敗があり成功率.720
盗塁王の埼玉西武金子侑は.804とまずまずの成績だ。企図数が10以上の選手はパには26人いるが、最下位の福岡ソフトバンク牧原大成は23回走って10盗塁、13盗塁死。成功率は.435だった。
○セ・リーグ
1野間峻祥(広).933(14盗塁1盗塁死)
2山田哲人(ヤ).917(33盗塁3盗塁死)
3亀井善行(巨).900(9盗塁1盗塁死)
4増田大輝(巨).882(15盗塁2盗塁死)
5梅野隆太郎(神).875(14盗塁2盗塁死)
6植田海(神).857(12盗塁2盗塁死)
7若林晃弘(巨).846(11盗塁2盗塁死)
8重信慎之介(巨).824(14盗塁3盗塁死)
9大島洋平(中).811(30盗塁7盗塁死)
10菊池涼介(広).737(14盗塁5盗塁死)
12近本光司(神).720(36盗塁14盗塁死)
1位は15回走って1回しかアウトにならなかった広島の野間。2位には38連続盗塁成功というNPB記録を打ち立てた東京ヤクルト山田が入った。そして、5位には、捕手の阪神・梅野が入っている。捕手で2桁盗塁は珍しいが、盗塁成功率も高かったのだ。
盗塁王に輝いた阪神近本は成功率.720で12位。優秀とは言えなかった。14盗塁死は、広島、鈴木誠也の15に次ぐリーグワースト2位。来季は盗塁の精度を上げる必要があるだろう。
(広尾晃 / Koh Hiroo)
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