メジャーリーガーも通う「ドライブライン・ベースボール」のスタッフが秋季キャンプに
21日まで宮崎市内で行われた福岡ソフトバンクの秋季キャンプ。今季、新たに取り入れられた試みが、アメリカのシアトルにあるトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」によるデータ測定と解析だ。室内練習場とブルペン内に専用機材を持ち込み、選手たちの様々なデータを取得。これをもとに個々の長所などのフィードバックが行われ、20日にすべて終了した。
レッズのトレバー・バウアー投手ら多くのメジャーリーガーも通う「ドライブライン・ベースボール」。日本球界でもオフに施設を訪れてトレーニングする選手がいたり、球団が選手を派遣するケースは多くなってきた。だが、福岡ソフトバンクはスタッフ、機材を丸ごと秋季キャンプへと“輸入”した。その狙いはどこにあったのか。
福岡ソフトバンク球団統括本部チーム戦略室の須山晃次室長代行がその思惑を語った。
「アメリカでは有名な施設で、10年くらい前からやっていて現役のメジャーリーガーも多く通っています。多くの実績を残していて注目はしていました。実際に視察に行って話をさせてもらった上で、選手が行くよりも来てもらって、みんな見てもらい、スタッフたちもみんなで話を聞いたほうがいいのではないか、と思いました」
選手個々で施設に行き、チェックをしてもらうことも考えたが、そうなるとその情報は聞いた選手で止まってしまい、チーム全体として共有しきれない。それならば、日本に来てもらい、選手だけでなく、コーチ、スタッフ全員でそのデータやノウハウを共有したほうがいいのではないか、と球団は考えたという。
「みんなを見てもらい、スタッフたちもみんなで話を聞いたほうがいいのではないか」
今季は故障者の続出によりチームが苦しんだところもある。故障者の防止など様々なチーム強化策を考える中で、チーム戦略室が主導して、この「ドライブライン」の“輸入”を実現させた。とはいえ、これがチーム強化の本筋になるかといえば、それもまた違う話になる。
「彼らなりのデータで組み合わせて解析して、メソッドを提供するんですが、これを球団でゼロからできるといえば、そうではない。取り入れられるものは取り入れようと。ただ、色々とやっている取り組みの1つ。一旦やってみて、この先どうするかはこれから考えていきます」
今回はあくまでも“試験的”な導入で、今回のデータ計測やフィードバックを受けて選手の反応や、コーチ陣、トレーナーなどのスタッフ陣の考えなどもすり合わせた上でどう活用していくかは決めていくことになるという。
関心を持っている選手たちも多数おり、測定には参加できなかった千賀滉大投手は他の選手たちの測定やフィードバックに混ざって話を聞くなど興味を示していた。「やって良かったと思います。千賀なんかは体の勉強もしているし、熱心に聞きに来ていましたね。これで何かキッカケを掴んだ選手はそれをオフにやってくれれば」と須山室長代行は語る。
メジャーで最先端を行く「ドライブラインベースボール」のノウハウ。今後も継続して取りれていくのかどうかも含めて、今後が楽しみだ。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)
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